【4707号】荒野の声

 

▼妻が包丁で指を切ったので、家事を引き受ける。厨房のことは嫌いではない。普段から、出しゃばっては妻にうるさがられている。しかし、家事全般となると話は別だ。疲れが出たのか、5日目、刺身包丁を研いでいて左手中指をスライスしてしまった。▼左手中指、最も利用頻度の低い指のようだが、とても不自由だ。痛みも勿論だが、濡らしてはならないということで、顔も満足に洗えない。何故か、パソコンは打ち間違いばかりだ。殆ど右手ばかりを使っているような気がしていたが、必ずしもそうではない。左手中指にも役割はあるのだ。10本の指に、存在価値の差などはない、皆重要なのだということを思い知らされる。▼ところで、このコラムの主題は、「体は一つでも…」ということではない。それなら、一コリント12章に、卑近な体験談を付け加える必要はない。▼大量出血しながら自分で運転して駆け込んだ病院と、そこの医者のことを記したい。時間は、日曜日、大河ドラマが始まる頃。しかし、救急病院ではなくこの医院に向かった。近いこともあるが、実は、この個人医院は、年中無休、その看板も掲げていて、どんな時間でも嫌な顔をしないで診てくれる。何故か患者は少ない。▼一時間近くも掛け、丁寧に縫い合わせて貰った。一週間後、この医者が患部を診て、「わー良かった。ちゃんとくっついている。駄目かと思ったけどね」。この日は、何も治療をしていないとのことで、診察料無料。見立ても、技術も確かだ。しかし、商売っ気がない。皆無。そうすると、流行らないものらしい。病院も客商売だからということか。▼設備が整い、先端技術を誇る大病院もありがたいが、医療最前線は街の医院だと思う。教会も同じだ。教団・教区の役職や、神学博士の肩書きはなく、礼拝出席が少なくとも、伝道最前線は、街や村の一教会であり一牧師だ。

 

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