▼ケン・フォレットの『大聖堂...果てしなき世界』を読み終えた。読み終えたと言うと、随分大袈裟な表現に聞こえるかも知れない。神学書や哲学書ではなく、通俗的な小説に過ぎないのに。しかし、前作『大聖堂』と併せれば、文庫本6冊で3810頁、しかも、前作との間に10年の間がある。読み終えたが実感だ。▼前後両作品が舞台にするのは、1123~1174年、そして1327~1361年、大聖堂建設を背景に、修道院とその門前町を主な舞台として、多くの登場人物が描き出される。一方で、ケン・フォレットらしくテンポ早い物語の展開、息つく間もなく読んでしまったとも言える。▼日本伝道150年の記念行事を持ったくらいだから当然だが、創立100年を超える教会が多くなった。今年創立100年を迎えるのは、1910年・明治43年に立てられた教会、戦後1945年に立てられた教会も今年65歳になる。戦後の教会もぞくぞくと還暦まもなく古希を迎える計算だ。還暦・古希・後期高齢者、そんな雰囲気もある。会堂の老朽化、会員の高齢化に悩む教会も少なくない。▼しかし、『大聖堂』の物差しで測れば、未だ未だほんの幼児期だ。そもそも、大聖堂ともなれば、100年200年、何世代もの大工によって建てられるのが当たり前だ。未だ未だこれから。