「牧会者とその家族のための相談室」の相談電話が、2019年3月4日(月)に開始されることとなった。この相談電話は、毎週月曜日午前10時から午後4時まで(午後0時から1時は休憩時間)、電話によるカウンセリングの経験を重ねた方々が相談の窓口となる。
1月15、16日、鎌倉黙想の家において、相談員のガイダンスミーティングと委員会を相談電話開始に向けての準備として開催した。
この相談室は、2009年より、『「障がい」を考える小委員会』において、牧会者とその家族の自死や精神的疲労、それに伴う教会の崩壊的状況、その深刻な問題を協議し、設置が検討されてきた。協議の中で、精神的ケアの取り組みが急務であることの重要性が確認され、「牧会者とその家族のための全国交流会」を3回開催し、2018年、ようやく、「牧会者とその家族のための相談室委員会」の設置に至った。
相談室の目的は、牧会学的な基盤を基に、牧会者とその家族に対する「魂の配慮と精神的ケアに関する基本的研究ならびに実際的諸問題」に取り組むことにある。この目的に取り組むことは、今までのカウンセリングにはない困難な状況を受け止めなければならい。特に牧会者とその家族の特有の課題がある。しかし、困難だからといって、この問題に目を背けていてはならないし、伝道者やその家族が倒れてしまうことによって伝道の力は、急激に弱くなる。そのような意味でも、この働きが日本基督教団における伝道の大切な業であると受け止めている。
相談室委員会は、「実際的な諸問題に取り組む」ために、「相談電話」という形でスタートさせ、相談電話カウンセリングの経験を積んだ相談員を信徒の中から依頼し、ガイダンスミーティングを実施した。特に、このミーティングにおいて確認されたことは、相談員の倫理綱領としてまとめられ、主に以下の7つである。
①相談室委員ならびに相談員は、守秘義務を守り、教団・教区・教会における教会政治ならびに人事関係から独立し、その組織に批判的にならず、また、問い合わせには応じないこと。②相談は何よりもまず、悩み、傷ついた心に寄り添い、共感して受け止めることにあり、悩みや苦しみの問題解決を第一義的には考えないこと。③随時、ミーティングを行い、相談の対応について分かち合い、協議を重ねること。④相談員が抱えきれない相談を受けたとき、その対処方法を相談室委員は検討し、相談員をサポートすること。⑤相談記録など、取り扱いに注意して、守秘義務を厳格に守ること。⑥牧会者は、欠けの多い人間であると同時に、非常に大切な役割と使命を持っている。その特有性を受け止めながら相談を聴くこと。⑦牧会者の家族は、召命感や牧会訓練を受けていないまま、教会の奉仕を行っている実状がある。そのために特有な課題を背負っていることを受け止めながら相談を聴くこと。
相談室としては、さまざまな相談のケースを想定しながら準備を進めているが、「実際に開始されないと、どのような内容の相談電話がかかってくるのかわからない」とも考えている。ただ、この相談室が、牧会者とその家族の苦しみの問題を、すぐには解決できなくても、少しでも受け止める機関として機能して欲しいと願っている。
そして、何よりも、牧会者とその家族が、主イエス・キリストによる恵みを味わい、喜びを味わい、また、もし、それを見失っていれば、その恵みと喜びが回復されることを願っている。そのためにも、是非、どんな些細な問題や悩み、苦しみであっても、この相談室に電話をかけていただきたい。 (加藤幹夫報)