2010年1月23日(土)~1月30日(土)、日本盲人キリスト教伝道協議会(以下盲伝)の主催により、バングラデシュ・スタディーツアーが行われた。
参加者は盲伝の会員男性2名、女性6名の計8名。23日に成田を発ち、24日の聖日礼拝をバンコク日本語教会で守った後、バングラデシュに出発、25日からバングラデシュの様々な施設を見学した。
盲伝とバングラデシュの関係は長い。その関係は、1989年、NCCの招きでダッカ市内にあるバプテスト連盟女子盲学校の校長である、サマダール氏が来日したことにより始まった。「バングラデシュの視覚障がい者を支えよう」という声が会員から起こり、当時の財務員であった二神三男牧師がバングラデシュに足を運んだ。以来、生徒や卒業生に対する支援や、盲伝の会員がバングラデシュについて理解を深めるためのスタディーツアーを通して、相互理解を深めて来た。
イスラム国であるバングラデシュでは障がい者を教育することについて、また女子に対する教育について意識が低いため、障がいを持つ女性は二重の差別に苦しむことになる。宣教師がそれらの女性に対して職業訓練を始めたことが盲学校の前身となっている。現在では、視覚障がい女性に教育の機会が与えられていることが広く知られ、遠隔地からも生徒が集まっている。
また、卒業しても行き先のない視覚障がい者女性が、自分自身の存在意義を感じながら生きていくことができるように、マイメイシン県パキチャラ村にリハビリテーションセンターを設立。これは、盲伝が資金を援助して土地を購入して設立されたものである。設立に際してはJOCSのワーカーが協力してくれたという。「団体」という枠組みを超えてキリスト者が力を合わせて奉仕していく姿がそこにはある。設立当時から運営資金は盲伝からの献金によって賄われている。
隣接地にはバプテスト連盟のセンターがある他、ワールド・ビジョンなど多くのキリスト教団体が活動している。その背景には、ダッカ-マイメイシンという2大都市を結ぶ交通の中間地点として、エイズなどの問題が起きているということがあるという。それらの問題と真摯に関わるキリスト教に対して、信頼が寄せられている場所でもある。
今回の旅行では、以上の2施設の他に、NGOが運営している2箇所の工芸品センターと、修道院が主催しているクラフトセンターやバプテスト連盟の本部などを見学した。
工芸品センターではバングラデシュの代表的な工芸品であるノクシカタ(バングラ刺繍)や素焼きの壺などを見ることができた。これらの工芸品をNGOや修道院が関わって海外への販売を促進することで、それらの作製に関わる人たちに収入を保証し、生活を向上させる目的で行われている。貧富の差の激しいバングラデシュに於いて、それらは非常に貴重な収入源となっている。
28日には盲伝が立ち上げたNGO「にじの橋基金」による奨学金の授与式にも参加することができた。その奨学金により、経済的に困難な盲学校生徒の中等教育や、大学進学が可能になった。大学ではテキストの点訳や、授業を受けるためのサポートについては学生本人の負担となるため、奨学金だけでは学業を続けることが困難な実情も把握された。
参加者の殆どがバングラデシュ初体験ということもあり、ダッカ市内の喧噪や貧富の差、物乞いの多さなどにカルチャーショックを受けるということもあったが、その中でも主の名によって共に働く人々の存在を感じ、私たちが、そして日本の教会が奉仕すべき場所が日本以外にもあることを感じさせられた学びの旅であった。
(辻順子報)