【4692号】みんなで生きる JOCS

 

日本キリスト教海外医療協力会 大江浩

切手から見える世界 使用済み切手運動45周年

 

JOCSは、2009年に「使用済み切手運動45周年」を迎えました。昨今は電子メール・宅配便など通信手段の激変の影響で、切手収集家の需要は根強いものの、年数トン単位の減少傾向が止まらず、大変厳しい状況にあります。10数年前は「集まりすぎて困った」のが、今は「集まらなくて困る」という逆転現象が起こっています。使用済み切手運動は今、皆様の協力が必要です。

先ず、使用済み切手運動30周年のときにJOCS会報「みんなで生きる」に寄稿された日本におけるこの運動の紹介者である故・住吉勝也医師の記事(抜粋)を紹介したいと思います。

「今から140年前、ドイツのビールフェルトという町にフリードリヒ・デュッセルマンという神父がいました。この町には癲癇の子どもが多く、彼は子ども達が街角で発作を起こして倒れたまま放置されているのを見かねては教会に収容し、町の人々の協力を得て食べ物を与え、看護しました。それがベーテル(神の家)の始まりです。しかし、やがて蓄えも無くなってしまい、手元に残ったのは僅かな古い切手だけでした。 イギリスのエリザベス女王に『私の財産は200枚足らずの使い古しの切手だけです。けれどもこの町では毎日5人もの子ども達が癲癇の発作で倒れているのに、その患者を運ぶ車もないのです。車だけでもイギリスの古くなったものをいただけないでしょうか』と手紙を書きました。すると女王は、新品の馬車を10台送ってくれました。それが、切手が物に変わった最初の記録だと言われています。」(JOCS「みんなで生きる」19947月号から抜粋)

日本キリスト者医科連盟の会員であった住吉医師は、岩村ドクターの活動を支えるため、1964年に「ネパールにBCGを送ろう」という全国キャンペーンを開始します。ヨーロッパからのアイデア輸入ではありますが、「切手収集家の趣味と実益」と「途上国の人々の命を支えるというボランティア精神」とが絶妙に結びついたユニークな運動の始まりです。多種多様な切手や消印の趣味、人によっては貼り絵にしたり、装飾に利用したりと、100人いれば100通りの「宝物」に変身する切手の世界は本当に深く豊かなものです。貧しく弱くされた子どもたちを救うこと、それが150年以上も前に始まったこの運動の原点です。

使用済み切手運動は年齢を問わない、誰でも気軽にできる国際協力ボランティアです。暮らしに根付き、そしてリサイクル・リユースの思想に則った「エコ」な教育的活動です。「捨てればゴミ・集めれば国際協力」「はさみ1本・切手1枚から始まる」「たかが切手・されど切手」などなど、色んな表現があるでしょう。確かに、誰かにとっては「用済み」の切手を、私が手に取ったとき、アジア・アフリカの草の根の人々の世界がつながる瞬間があります。

イマジン(想像)してみてください。世界各地で3秒に1人・13万人の子どもたちが5歳の誕生日を迎える前に神様の御許にいくことを。1分に1人の女性が出産時に命を落としていることを。世界約67億の人口のうち11ドル以下で暮らす最貧層の人々が約10億人もいることを。そのことに無関心ではいられません。私たちは何かしなければ、いえ「何かできる存在」です。一人の人間は家族と地域とそして世界につながっています。「みんなで生きる」一人ひとりとして、命を支えるボランティアに参加しませんか?

 

ウガンダを訪れて〝We Treat/Care, God/Jesus Heals

 

JOCSは、ワーカー派遣のもう一つの大切な働きとして、現地の医療従事者への奨学金支援を通して、「命を支える人」を支えています。現在7カ国74人(今年度実績)を支援しており、その現状視察のために、昨年10月にウガンダの奨学生とその所属団体を訪れる機会がありました。

JOCSは、ウガンダのUPMB(Uganda Protestant Medical Bureau)をパートナーとして、その加盟団体の保健医療スタッフを対象に毎年20名前後奨学金で支援しています。UPMBに加盟するプロテスタント系医療機関(約270)の80%は、地方の農村で、紛争や貧困にあえぐ地域にあります。JOCSとウガンダの関わりは、北川恵以子・元ワーカー(小児科医:2000?2005年)の派遣に始まり、奨学金支援も北川ワーカーがKiwoko病院にNICUを創設した時に開始されました。

ウガンダの人口は2990万人で、8割はキリスト教徒です。英国から1962年に独立しましたが、アミン大統領独裁下の激しい内戦によって「アフリカのキリングフィールド」と呼ばれる虐殺の時代を過ごしました。周辺諸国(スーダン・コンゴ・ルワンダなど)も紛争の深い傷跡から癒されることなく、人々は紛争、貧困、そしてHIV/エイズの苦難にあります。

ウガンダでは、多くの奨学生との出会いに私たちの活動の意味を再確認した次第です。彼らは、少なからず自ら医療過疎の地域に生まれ育ち、家族や親類の病気や死に直面し、医療者を目指した人たちです。ここで何人かの奨学生のコメントをご紹介します。

JOCSの奨学金は財政面だけでなく、大事なモラルサポート。私達は、(所属)病院の光である。JOCSがその光をもたらしてくれた」、「深刻なケースの子ども達ばかりだが彼らは特別な存在で、勇気付けられる。麻酔科は誰もやりたがらないので選んだ。やりがいを感じている。日々の仕事で疲弊気味の同僚を励ましたい。JOCSは夢を現実に変えてくれた」(子ども病院の麻酔科専門の看護師)、「深い感謝の応答として、ロールモデルとして身を粉にして働きたい」(看護学校長)etc。彼らの働きに励まされ、勇気を頂いた次第です。

訪れた病院には”We Care, God Heals〟(Kagando病院)や”We Treat, Jesus Heals〟(Kiwoko病院)という言葉が掲げられていました。「私たちが治療/ケアをする。しかし癒されるのは神様/主イエスである」という意味です。”We〟という言葉にスタッフ一人ひとりの働きがあり、神様が主のみが癒してくれる、という確信のもとに日々の活動に従事していることの証です。

カンパラにあるMengo病院(ウガンダ及び東アフリカ初のミッション病院)にはこう書かれていました。「病者を癒そうとすることは大変な仕事だ。渇いた魂に救いの水を注ぐことはさらに大きな仕事だ。しかしその二つを結びつけることは、人間が望みうる最も偉大な業なのだ」(Dr./Sir Albert Cook,CMS派遣のMengo病院の創設者)と。主に示された私たちの使命を改めて思わされます。

今回のウガンダ出張を契機として、「主の備えられた道を-ウガンダ医療宣教の記録」(イアン・クラーク著・飯田真知子訳:いのちのことば社)、「ウガンダに咲く花」(鈴木文治編著・コイノニア社)という2つの素晴らしい本に出会いました。私たちがウガンダや世界とのつながりの中で、「何故、何のために、何を為すべきか」を考えさせられ、主イエスが私たちに「誰のために、どのように生きるのか」を問いかけられていることを深く学びました。

 

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