時々、教会の様子を電話や手紙あるいは直接の訪問で尋ねられる方々がある。いずれもこの教会で洗礼を受け、後に転出して、それぞれの教会で信仰生活を続けておられる方々である。懐かしそうに語られる文章や声を見聞きしていると、母教会への感謝と愛情がそこに溢れていることを深く感じさせられる。ほとんどの方は長い信仰の人生を振り返りながらその原点となった時と場を確認し、神の恵みを噛み締めておられる。母教会が変わることなく主の福音を宣べ伝え、そこに立っていることに大きな喜びを感じておられるのである。私自身もまた母教会に対して同じ思いを持っているので、その方々の気持ちに寄り添うことが許され、話がはずむこともしばしばである。
信仰を与えられた時と教会、それは私共にとって神の国への入口、天国への門でもある。主が召して下さったことを確認する場である。それ故に多くの方々が母教会を覚え、その働きのために祈り続けるのである。教会がこのような祈りに支えられていることをあらためて思わせられるのである。
主がそれぞれの地にお建て下さった1700余の教会・伝道所。また御言葉が宣べ伝えられる多くの集会。そして御言葉に立って働くキリスト教学校や社会事業団体、その全てが神の国への大切な入口、天国への門であろう。人々が生きる多くの地にその入口が備えられている恵みを主に感謝し、共に伝道に励みたいものである。
(教団副議長 佐々木美知夫)