すべての民をわたしの弟子にしなさい
2009年6月24日(水)午後1時半~4時、富士見町教会において日本伝道150年記念、第68回日本基督教団創立記念日礼拝が行われ、全国133の教会から、約320名の教師信徒が出席した。
教団創立記念日礼拝
礼拝は、司会・髙橋豊(白鷺)、奏楽・千葉仁(富士見町)、説教・山北宣久教団総会議長、教団信仰告白、聖餐式、献金感謝祈祷・樋田利明(富士見町)の次第により進められ、続いて、「伝道牧会50年以上の現職の先生方の業に感謝して」表彰式が行われた。
「すべての民をわたしの弟子に」と題して、山北議長はプロテスタント日本伝道の基点から宣教の歴史を辿った。
「日本開国前、1853年7月10日(日)ペリー艦隊サスケハナ艦上での礼拝、そこで捧げられた讃美歌は、今ともに捧げた4番、交読文は100篇であった。艦上ではあるが日本最初のプロテスタントの礼拝である」。
ここから始まる歴史を完全数の7に因んで「150年セブン」として総括した。
▼150年セブン
①163年前の琉球において、多くの難関を貫き、医療、琉球語聖書翻訳に尽くしたベッテルハイムの伝道を覚えなければならない。
②1859年、プロテスタントの宣教師6名が長崎、神奈川に渡来。禁教・迫害の中、1871年までの12年間で20名の受洗者が与えられた。神の言葉に触れるための日本語への聖書翻訳。伝道にはインスタントな手立てはない。
③宣教師たちは教派を持ち込んだのではなく、イエス・キリストを持ち込んだ。垂直軸で言えば、今も昔もこれからも。水平軸で言えば、いつでも、どこでも、誰にでも。垂直軸と水平軸を十字架上で描きながら開かれた教会を形成していった。
④1872年、宣教師たちの初週祈祷会。涙ながらに祈るその祈りを私たちにも教えてくださいと日本人が申し出た。最初の弟子たちが、イエスに私たちに祈ることを教えてくださいと言った姿に重なる。日本伝道は熱き祈りによって前進した。
⑤公会初期の受洗者は青年が多く、15歳の植村正久をはじめ熱き志を抱いた青年を中心に展開された。
⑥日本伝道の曙は、熊本バンドのジェーンズ、札幌バンドのクラークなど、信徒たちが担った。
⑦日本伝道は女性の手で繰り広げられた。後に、女性の人権確立、地位向上、教育振興など、現代日本に大きな影響を及ぼしている。
▼宣教師・人格的福音
日本人の救いのために、はるばる命がけで渡来した外国人が涙して祈り、御言葉を伝えたいとする不撓不屈の思いが、日本人の心をとらえた。
宣教師たちの人格の中に受肉した人格的福音、それが福音伝道の実を結ぶことになる。イエスの御姿を彷彿とさせるものが宣教師たちに宿っていた。御言葉は福音的な人格を通してなされるということを思うとき、私たちは、あるべき姿を整えさせられる。
▼主の命令
復活の主の命令は、行って、授け、教える。この3つの言葉に集約されている。これが、弟子としての私たちのなすべきこと。
行って新来会者を求道者へと導く。求道者を受洗者へと導き、受洗者が聖餐を受け、それぞれの場において献身者となっていく。なぜそうした働きが出来るのか。復活の主が共にいてくださるからに他ならない。
派遣されるために私たちはここに集められている。イデオロギーによってではなく、福音によって私たちは堅く立ち、これからの歩みを切り開いて行く。
▼すべての民をわたしの弟子に
「すべての民をわたしの弟子にしなさい」なお弱き私たちに近づいて、そう命じてくださる主によって心を合わせる時に、様々な不安や恐れを超えて、私たちはここから散らされていく。
私たちは多くの困難があることを覚えている。しかしその時こそ、復活の主が共にいてくださる、そのことを実感させられる時ともなる。
主は地上にて、教え、癒し、福音を宣べ伝えた。教えない学校は無く、癒さない病院は無く、伝道しない教会は無い、ということを確認させられる。教会はただ伝道のために建てられている。伝道し続ける限り教会は復活の主と出会い、共にあり続けるであろう。この確かさこそ、私たちは覚えさせられる。
▼福音を正しく宣べ伝える
主イエスが、初めでいまし、終わりでいます。主イエスにおいて神ご自身が教会と共にいます。その信仰をもって私たちはここから散らされていく。
福音を正しく宣べ伝え、バプテスマと主の晩餐との聖礼典を執り行い、愛のわざに励みつつ、主の再び来たりたもうを待ち望む。そのことに徹底していこう、と説教を結んだ。
伝道牧会50年以上表彰式
続いて行われた表彰式は、司会・小出望宣教委員長により進められた。
「伝道牧会50年以上の現職の先生方の業に感謝して」行われ、牧会66年の草村美教師(高円寺)をはじめ61名の方々が表彰された。うち出席は26名。
▼山北議長祝辞
山北議長は、神学校時代に聴いた言葉を披露した。「聖徳太子は3つの宝を持っていたが、牧師には4つの宝がある。びんぼう、しんぼう、きぼう、そして、にょうぼう」。先達に感謝すると共におつれあい、家族の方々に感謝を述べた。
「教団は苦しんでいるが、61名の方々が尚現職でいてくださり、先頭に立っていてくださることは希望であり、誇りである。
最後に引用した聖書『あなたがたに神の言葉を語った指導者たちのことを、思い出しなさい。彼らの生涯の終わりをしっかり見て、その信仰を見倣いなさい。イエス・キリストは、きのうも今日も、また永遠に変わることのない方です』
(ヘブライ13・7~8)
このことを実感として、皆様方のあとに続いて行きたい。
終わりまでの委ねられた尊い牧会伝道の上に、主の豊かなる祝福と共に心からの感謝を申し上げる」と祝辞を述べた。
▼表彰者を代表して、牧会63年の中村忠明牧師(埼玉新生教会)は次のように挨拶した。
「私は、青年時代病身だったが、毎晩街角に立って伝道していた。勘当されて家を出た。山陰線の車上で祈っていた時激しい胸騒ぎがし、召命の声を聞いた。私は素直に従った。
日本伝道150年記念にあたって、既にその業を終えて、主の御許に召された先輩の方々に感謝をいたしましょう。もちろん、信徒の方々のなさった労苦を決して私たちは忘れてはなりません」と明瞭な言葉で語った。150年の3分の1を引き受け、今なお現役としての証しは大きな拍手を誘った。
一人ひとりに手渡された記念の品は、表彰状と文語訳聖書。讃美歌280番「わが身ののぞみは」を賛美し、共々に感謝と祝福の拍手が続いた。
(鈴木功男報)