学校伝道研究会(濱田辰夫会長)の第28回講演会・総会が青山学院大学にて4月29日に開催され、前日28日には学校伝道懇談会が日本基督教団聖ヶ丘教会を会場として開催された。全国から教務教師また各教科担当のクリスチャン教員が参加した。今回は28日の「学校伝道懇談会」について報告する。
当日は青山学院初等部の小澤淳一宗教主任により「キリスト教学校と教会との連携」と題する、自身の日々の働きを通した発題があり、学びの時をもった。まずキリスト教教育の中心として、毎朝の礼拝があることが述べられた。特別礼拝には、近隣教会牧師・卒業生等も招かれている。さらに礼拝・授業以外の諸活動として、任意参加の「児童と教職員のための祈祷会」が週1回行われ多くの参加者があること、毎月の献金とクリスマス献金・イースター献金が献げられ、キリスト教諸団体等に送られていることが語られた。
今回の報告で特に注目されたのは、保護者向けの多彩なプログラムと参加者数の多さであった。年度初めの1年生保護者対象キリスト教オリエンテーションは、登下校に同伴する保護者の待機時間を利用し、キリスト教信仰に基づく教育に真剣に取り組む学校であることを入学当初に伝える機会としている。また全学年保護者対象プログラムとしては、3つの活動が紹介された。「聖書の学びの会」が月1回、十戒の講解を中心として行われ、在籍数600中、二百数十家庭の参加、昼間の会にもかかわらず近年は父親の参加もあるとのことであった。「ハンドベルに親しむ会」は月1回、80名近くの参加がある。この楽器は皆が違う音を出し、違う行動をしつつ、一つの曲が奏でられる。そこに聖書の使信が重ね合わされ、教会共同体が示されていくと紹介された。また「さんびの会(保護者聖歌隊)」も毎月100名を越える参加者であると紹介された。
保護者向けのキリスト教活動に力を注ぐ理由として、小澤氏は「500対1」という興味深い数字を示した。それは初等教育期における保護者と教員の影響力比率とのことである。そこから考えるべきことは、学校で繰り返し御言につき祈りにつき語っても、異なる価値観をもつ親の一言で崩れ去ってしまう。またその事態に直面した児童は結果的に、対面する大人によって行動を変える人間へ育つことにさえなりかねないということである。そうならないためには、家庭全体でキリスト教に触れ、キリスト教価値観を共有する共同体形成が肝要であると力説した。
前述の目的が究極的に達成されるためには、キリスト教学校に通う児と保護者が教会礼拝に出席し、洗礼へと導かれることである。小澤氏は協力牧師として聖日にはキリスト教学校関係者を教会で迎える立場にもある。そこで自身の奉仕する聖ヶ丘教会の例を紹介された。教会学校には幼稚科から中学科まで150名近くが集っており、同時間帯に子どもを送迎する親たちを招く会「日曜サロン」(母親の会)、「ゴリアテ会」(父親の会)がもたれている。それらの会で小澤氏は、子どもたちが教会学校で聞くのと同じ聖書箇所について語っている。それにより家庭でも同じ御言から親子の会話が生まれる。そして親が主日礼拝へさらに洗礼へと導かれ、やがて子どもも導かれていく。このようにキリスト教学校と教会を場とした、子から親そして親から子への御言の伝達を通して、クリスチャン・ファミリーが新たに起こされていく出来事を感動的に語って下さった。「キリスト教学校と教会との連携」による、今後の日本伝道への大きな希望が示された。その後の質疑応答でも予定時刻を大幅に超えて、活発な語り合いがなされ、参加者一同それぞれの遣わされた場での働きに改めて勇気を与えられ、散会した。
尚、学校伝道研究会の次回の活動は、プロテスタント日本伝道150年を記念して、本年8月6・7日、北海道函館・遺愛学院にて講演会・研修会が予定されている。
(松本周報)