歴史を共有する 久世そらち
北海教区は、10年ごとに「長期宣教計画」を策定して歩みを進めてきた。本年度は「第三次長期宣教計画」の6年目にあたる。
この「第三次長期宣教計画」の立案作業にかかわった際、計画の具体的な内容もさることながら、もっとも根本的な課題として考えさせられたのが、「北海教区とは何か」「これらの教会・伝道所が、北海教区として結びあっている根拠はなにか」ということだった。教会の伝統や運営のありかた、信仰生活の強調点や会衆の肖像も、それぞれに異なっている教会が、それでも皆で今ある「北海教区」という個性あるひとつの地域共同体を形成しているのは、いったい何をよりどころとしているのか。議論の中でたどりついたのは、私たちは「北海教区」としての歴史を共有している、ということだった。
教団の創立と共に成立した「北海教区」から、戦後、少なからぬ教会が集団で教団を離脱した際にもあえて残った諸教会が、その後の「北海道特別開拓伝道」の経験をわかちあい、また教区のありかたをめぐってそれぞれの信ずるところに基づいて率直に議論をしながら共同体を形作ってきた歴史が、私たちのすべてを「北海教区」に結び合わせている。
そういう理解が「第三次長期宣教計画」には、異例の長い「前文」として盛り込まれることとなった。
この歴史の上に今の北海教区があり、そしてそれは今もなお書き継がれ続けているのだ。
(北海教区総会議長)