「第12回日本基督教団と台湾基督長老教会との教会協議会」が"主を喜び祝う"(ネヘミヤ8章10節)をテーマに、4月21日から24日にかけて大阪台湾教会を会場に行われた。
出席者は日本基督教団(以下教団)から27名、台湾基督長老教会(以下PCT)からは11名。
この協議会はこれまで秋に開催されることが多かったが、今秋は「日本プロテスタント宣教150年」行事が予定されているため、この時期の開催となった。PCTの方々にとっては前週に総会を終えた直後であったにもかかわらず、協議会に対する深い思いを持って臨まれたことに感謝したい。
今回の協議会の特徴は、教団各教区からの出席者がほとんど信徒だったということである。これまでの協議会でも、PCTがこの協議会を基本として信徒の相互交流を切望していることが明らかにされてきたが、教団側は出席者のほとんどが教職という状況で、PCTの意向を受けとめるに留まってきた現状があった。そこで今回は協議会開催にあたりPCTから信徒の参加要請を受けて各教区へも信徒代表者の派遣を依頼した経緯があり、結果的にいつもにも増して和やかな雰囲気の協議会となった。準備にあたった台湾協約委員会としても、初めての出席者が多くなることを踏まえて、教団参加者に対してこれまでの協議会の経緯などのオリエンテーションを初日に実施した。
初日(21日)夜に捧げられた開会礼拝では、山北宣久教団議長がマルコによる福音書1章16~20節から、イエスが二組の兄弟を召されたことを教団とPCTに重ね合わせ、生き生きと活動する時も苦悩にある時も用いてくださる主を喜ぶことこそが力の源であり、そのことをこの協議会で確認していきたい、とのメッセージを語った。
二日目(22日)と三日目(23日)は、いずれも午前9時の聖書研究から始められた。22日はPCT副議長の頼顯章牧師がフィリピの信徒への手紙4章4~7節から、23日は大阪教区磐上教会の成田いうし牧師がマタイによる福音書5章38~48節から、それぞれに今協議会のテーマを深める聖書研究を行った。
聖書研究に続いて二日目の午前中には、PCTと教団それぞれの総幹事が発題を担当した。
PCTの張徳謙総幹事は、パワーポイントを用いて総会として取り組んでいる具体的な六つのプログラムを紹介し、さらに松年委員会(高齢者プログラム)と女性委員会それぞれの信徒代表がその働きについて報告した。教団の内藤留幸総幹事は、聖書から主を喜び祝う場所は礼拝であることを改めて示した。
これらの発題の後、二日目午後と三日目午前中の3回にわたって全体協議を行い、前回共同声明の振り返りと今後の両教会の交流について意見交換を行った。
その中で繰り返しPCTから出されたのは、人的交流についてである。両教会の諸神学校の教師・学生、高齢者、女性、牧師の交流については、'95年の第10回協議会から共同声明に盛り込まれているが、具体的に進んでいない現状から一歩進めたいという強い要望である。この協議会は二年に一度開催されているため、今回で24年目の交流となるのだが、改めて認識を得たのは双方の組織の違いであった。PCTは総会に青年・女性・高齢者の委員会があり、それぞれの活動に対して総会として動けるようになっている。しかし教団はそれに対応する組織がなく、各種委員会で対応せざるを得ない。それが具体的な交流にまで至らなかった要因であることを、今協議会でPCTにも理解してもらった形である。その上で、交流窓口を確定して滞りなく連絡を取り合い、今後二年間にPCTからのアプローチをどう受けとめて実施していくのか、改めて教団の真摯な対応が問われている。
また、昨年11月にPCTから出された「台湾における正義抑圧および人権侵害に対する祈りの要請」を今協議会で改めて受けとめ、そのことを含む武力による平和を脅かすいかなる行為に対しても両教会が強く反対していくことが確認された。
山北議長は「教団にとって台湾との関係は生命線である。PCTとの生きた交わりによって、教団は大切な視点を与えられている」と語った。協議会から生み出される"具体的な生きた交わり"への歩みを教団は踏み出さなければならない。
(高橋真人報)