【4668号】荒野の声

▼突然の腰痛で、三日程は身動ぎもならなかった。十数年前の肝臓、五年前の心臓に続いて今度は腰、「これで肝心要、全部そろった」と冗談を言ったら、ビリビリと激痛が走った。▼立ち上がるにも座るにも、支えが要(!)る。障子の桟でも良い。親指と人差し指で桟をつまむだけで、全然違う。桟を支えに立ち上がって も、桟は壊れたりしない。支えは僅かであっても十分に役立つのだ。▼「さん」の漢字が書けなくて、広辞苑を引いたら、一番最初に「かけはし」と、その意味が記されていた。小さな支えでも、決定的なかけはしの役割を果たすことが出来るかも知れない。病そして痛みが、教えてくれた。▼『聖書の絵師…新潮社』に登場する「 ノリッジのマザー・ジュリアン…幻視体験を綴った『神の愛の啓示』で知られる一四世紀イギリスの修道女」は、主の十字架の苦しみを体現するために、「病を与え給え」と祈る。▼聖ジュリアンに倣うことなどはできない。「病を癒し給え」と祈りながら、己の貧しさを思い知らされる。

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