【4667号】平和メッセージ 主にある命と平安

マルコによる福音書10章17~31節  小林   眞
不安を見抜く中で
今の時代、間違いなく誰もが平安を願っている。ただ平安と言っても、その内容は、その人の生活の場の状況によっては多様だと思われる。
例えば、自分の個人的な魂の平安であったり、社会的な差別から解かれる正義であったり、具体的な戦争がなくなる平和などを願うのである。
従って、その内容に沿って自分なりの求め方をするのであるが、多様な平安とは別々のことだろうか。
主イエスのもとに一人の人がやって来て「善い先生、永遠の命を受け継ぐには、何をすればよいでしょうか(17節)」と尋ねた。
この「何をすれば」の中には「永遠の命は、自分の力や行いで受け得るもの」と考えていることが明確に出ていると言ってよい。
主イエスも、それを分かってであろうが「十戒」を示されると「そんなことはみな守っています」と自信を持って答えた。
ということは、彼は自分で永遠の命を受ける道を知り、自信もあるが、主イエスに尋ねたとは、なお不安があることを自ら暴露しているのである。
主イエスは、この人の不安を見抜く中で、いつくしんで「あなたに欠けているものが一つある。行って持っている物を売り払い、貧しい人々に施しなさい。そうすれば、天に富を積むことになる(21節)」とおっしゃった。けれども彼は、その求めに対して財産を捨てることができなかった。
財産を捨てることは
なぜできなかったのか? 多少は、惜しいという気持ちがあったかもしれない。
しかし、彼は死後の世界に財産を持って行くことができないことくらいは分かっているはず。
ましてこの人は、永遠の命を求めている故に、地上にだけ通用する財産は捨ててもよかったのではないか。
またこの箇所を読んだ方が「財産を捨てないと永遠の命に与ることはできない」と理解し「マザー・テレサはできたかもしれないが、凡人の私には無理だ」と言うことも多い。
しかしそうではない。逆にそうだとすると、地上で恵まれた人、所謂お金持ちは救われなくなる。
ここで彼が財産を捨てきれなかったのは、地上の財産に固執したからではなく、旧約聖書の時代から「財産は神の祝福の印」という考え方があったからである。
つまり、彼にとって財産を捨てることは神の祝福の印・保証を手放すことにほかならず、それらを手放すことによって、永遠の命・祝福が与えられるとは到底考えられなかったからである。
その意味で、主イエスは「財産のある者が神の国に入るのは、なんと難しいことか(23節)」とおっしゃったのであるが、弟子たちには真意が分からず「それでは、だれが救われるのだろうか(26節)」と考え込むしかなかったのである。
地と天との尺度の違い
この箇所で主イエスが一番語りたかったことは「地上の財産や確かさの中に、天の印を見いだす空しさ」であり、言い換えれば、地上と天における尺度の違いである。
その違いの理解が浅かった弟子たちが「ではだれが…」と問うたことはやむを得ないことかもしれない。 それを受けて、主イエスは「人間にできることではないが、神にはできる。神は何でもできるからだ(27節)」と、人間の行いの不確かと、神の業の確かさを明確にされた。
わたしたちは、時には考える。これだけ信仰生活…礼拝・奉仕・献金ほか…を続けたから天の命を受け継ぐことができるだろうと。 とんでもないことである。
わたしたちの信仰生活の行いは尊く大切なことであり、神さまも喜んで下さっているに違いない。しかし、それを以て「命の担保」とすることはできない。
「永遠の命」は、人間的・地上的保証のないところで、神ご自身が保証して下さるのである。
人間的保証のないところとは、人間の確かさがなく「罪のあるところ(告白)」と言ってよく、そこにこそ、神ご自身の確かさと業が明らかになる。
私に従いなさい
改めて見ると、主イエスは「わたしに従いなさい(21節)」とおっしゃったが、これは何を指すのか。
翻って、この男との問答は、主イエスが旅に出る時であると17節に記されているが、この旅とはエルサレムに向かう旅であることは間違いない(32節)。
つまり「わたしに従いなさい」とは、「エルサレムまで従って来なさい」ということであり、「エルサレムに来ればわたしの本当のことが分かる」とのことにほかならない。
二千年前、主イエスに従って行ってエルサレムで見えたこと、それは「赦しと贖いの十字架と、ご復活の命」の福音そのもの…。
この福音に与ることこそ信仰そのものであり、地上のどんな力で以ても切ることのできない神さまとの永遠の関係に入ること。
この福音の「命」なくしての平安…心や魂の平安、正義や、平和など…は果たして本物なのであろうか。
今一度、自分の求めている平安の内容を問い、より正しく「命」に与りつつ、福音に応える歩みを続けたい。
(遠州教会牧師)

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