【4664号】人ひととき 有賀 貞(ある が  ただし)さん

人生をより意味あるものへ
有賀さんが受洗したのは二〇〇六年のクリスマス。遡ること四〇年程前から、クリスチャンの妻と共に教会に通い、自分なりにはイエス・キリストの神を信じていると思っていた。しかし学園紛争期にはキリスト教大学で、クリスチャン学徒たちに失望するという経験もした。振返って有賀さんは「古来、敬虔な賢者たちの集まりにも争いや対立があり、人としての弱さを露にするものだということを十分認識していなかった」という。
その有賀さんを受洗に導いたきっかけの一つは、聖学院大学大学院へ勤務したことであった。祈りと讃美歌のある入学式に感激し「敬虔に学問する精神」を実感した。また古屋安雄牧師の「信仰を告白して教会員になっていない者は、こうもりのようなものである、教会に属していなければだめである」との言葉を重く受け止めた 。それまでも長い間、妻と共に教会の礼拝へ出席し、度々神に助けを求めて祈ってきたが、使徒信条の言葉通りには信仰告白することができないという中途半端な心持があった。
しかし人生を省みて、自分の人生、また妻の人生を、受洗を通してより意味あるものとし、共に過ごす残された日々をより深めたいと願うようになった。また教会での加藤哲牧師の説教は、惨めさ、罪深さを感じている者に、神の愛によってのみ立ち上がる勇気を与えるものであり、牧師の祈りに心を合わせているうちに、使徒信 条の信仰告白へ、受洗へと導かれた。有賀さんは今、次のように語る。「妻と子どもを与えられ、仕事を与えられ、七〇歳をこえて生かされ、そしてまだ働きの場を与えられている。これは神の思し召しであり、キリストが私を捉えて下さったからである」と。その背後には、人生の伴侶による長年の祈りがあった。さらに信仰告白 の姿勢として「今日の復古的ナショナリズムと精神的に一線を画す」と語る。そこには福音信仰により究極的社会貢献をなす、クリスチャン社会科学者の姿勢が現れていた。

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