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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4879号】2017年度宣教方策会議 「日本伝道をどう考えていくか」を主題に開催

2018年3月31日

発題 「宣教基本方策」(1961年)を巡り議論
 3月5~6日、2017年度日本基督教団宣教方策会議が富士見町教会を会場に、主題を「日本伝道をどう考えていくか~宣教基本方策をもとに」と題して開催された。教団四役はじめ、教団内の各委員会、教区代表者等合わせて84名が出席した。

 米倉美佐男宣教委員長が、個人的な意見としつつ、「色々な問題を抱えている教団であるが、日本基督教団信仰告白と教憲教規を整えていく中で教団が教会と成ることを願っている。様々な意見があろうが、会の中で忌憚なく話し合いたい」と挨拶し、教職・信徒各2名の発題を聞くところから会議が始められた。

 最初の発題者は古澤啓太牧師(神戸東部教会)。同氏は冒頭、「教団のバラバラさに自信を持つべき」と語り、現行の宣教基本方策を詳細に分析し、「基礎」「教会」「教職」「信徒」「伝道」「内外協力」「調査広報」「機構」という宣教方策の8つの項目それぞれについて、数々の提案をした。

 続いての発題者は西谷美和子氏(大宮教会員)。「日本伝道とは、神の家族がキリストの愛に応え、受容し合う歩み」と題して女性信徒の視点から発題した。大宮教会の牧会の状況を紹介し、全国教会婦人会連合の働きに言及しつつ、「信徒一人ひとりが祭司として執り成し合い、悲しみ、喜びを受容する信仰に立つとき、イエスの名によって福音を宣べ伝えることが出来る」と結んだ。

 3人目の発題者は中嶌暁彦氏(八王子教会員)。11頁の資料が用意されたが、特に「信仰生活」「伝道の対象」「信徒伝道」「課題と疑問」「伝道の拠点」について語った。同氏が強調したのが、信徒減少という現実の中で、伝道は教職任せではなく信徒が教職と共に担っていく業である、信徒は人を教会に連れてくることが重要である、伝道にはそれなりの財が必要である、ということであった。

 最後の発題者は吉澤永牧師(愛知教会)。自身の信仰のルーツは教団ではないというところから話は始まり、それ故ある時期まで教団で起こっていることを自分の問題として受け止めることができなかったことや、教団で働き場が与えられて以降に感じた問題点を、具体的な事例を挙げ語った。

 発題後フロアからは、特に2人の教職の発題に対する意見があったが、米倉委員長は、紛争世代と紛争を知らない世代のギャップの問題こそが今回のテーマの一つであると語り、その中で伝えるべきことは伝えなければならないし、どこで教団が一致できるかということを世代を超えて探っていくべきと応じた。 (小林信人報)

 

教区議長報告 4教区議長、取組みを報告
 初日の夜、北海、東海、西中国、中部の各教区議長が取組みを報告した。

 久世そらち北海教区議長は、教区の厳しい状況の背景に北海道社会が抱える行政サービスの低下などによる暮らしづらさの深刻化、若年人口の流出などの課題があることをまず指摘した。その中で教区は1984年から10年ごとに長期宣教計画を立てて来た。1994年以降は一貫して革新・連帯・平和を掲げ、現行の第四次長期宣教計画(2014~2023)では社会が縮小して行く時にこそ、教会は活動を豊かにして力強く社会に働きかけることを神からのミッションと受けとめ、礼拝の充実と礼拝を守り続けるための相互支援、礼拝から始まる社会平和への働きかけに取組んでいる。

 宮本義弘東海教区議長は、教区の土台が「伝道とは福音を宣べ伝えること」にあると述べた。これまでの教区伝道部婦人委員会、青年委員会等の活動による教区主導型の伝道では進展が見られなかったことから、2016年に東海教区五カ年計画を立案した。五カ年計画では教区は伝道のために一致して霊性を高め、具体的な伝道の働きは各教会が担う。各教会の伝道力を高めるのは復活の主を礼拝する喜びであると議長は語り、その礼拝の喜びに各教会が包まれる道筋を立てることが教区の急務であると結んだ。

 小畑太作西中国教区議長は、教区宣教基本方針が「祈り」の中で掲げる「わたしたちは様々な重荷を背負う人々の出会いを通して、つくり変えられ…その人々と共に生きる」を紹介しつつ、福音伝道という教会の主体的目標ではなく、社会から教会に何が求められているかに御旨が表れるとの見解を述べた。教会の願いや思いではなく、世に仕えることを中心とする活動に、教会の存在意義と今後進むべき方向を見出せるのではないかと提案した。

 横山良樹中部教区議長は、教区の特色として助合伝道への集中を挙げ、互助制度による具体的な活動を紹介した。中部教区は歴史的経緯から宣教基本方針を定めず、宣教実施目標を掲げて毎年検討し、教区総会で可決する。実施目標の根幹は「福音伝道を使命とし、全体による助け合いと研修によって主にある一致と交わりを求める」ことにあり、助合伝道は8種の援助から成る教区互助制度で進めている。議長は、近年に教区内で起こった未受洗者陪餐発言への対応を経て、教団信仰告白と教憲教規が指し示す洗礼と聖餐の一体性と秩序を重んじることが、助合伝道の基盤である一致には是非必要と再確認したと語り、報告を終えた。 (原田裕子報)

 

講演・全体協議「信仰の一致における伝道協力」を改めて訴える
 2日目、石橋秀雄議長が「マケドニアの叫び—行き詰まりの中で」と題する講演を行った。

 冒頭、東日本大震災に直面し、「信仰の一致における伝道協力」を訴え取り組んだことを振り返り、教団における信仰の一致が信仰告白による一致であることを語った。

 続いて、この告白にある教会が、「キリストの体としての教会」、「御言葉の秩序としての教会」であることを教憲の条文を紐解きつつ語り、「教会の第一の使命が、受洗者を生み出し、聖餐において十字架と復活の命に与り、キリストの体である教会の枝となって行くことである」、また「教憲による一致があってこそ、教会の力を発揮する」と述べた。

 また、礼拝の恵みに与った者が愛の業に向かうことも伝道であるとし、東日本大震災の際、礼拝共同体の支援と共に、教会を通して地域の支援を行ったことに触れ、「礼拝と証しの生活は切り離せない」と述べた。

 最後に、使徒言行録16章で、パウロが御言葉を語ることを聖霊によって禁じられる中、マケドニア州の叫びを聞き、ヨーロッパ伝道の道が開かれたことに触れ、危機の中で伝道が聖霊の業であることに希望を与えられ、助けを求める叫びを聞くことの重要さを語った。

 講演後に行われた分団協議は、議論を交わすよりも聞き合うことに主眼を置いたワールドカフェ方式で行われた。宣教基本方策の8つの項目毎にテーブルが設けられ、参加者は巡回しながらそれぞれのテーマについて協議し、テーブル毎に用意された模造紙に、意見を残して行く。分団協議後、テーマ毎の報告を聞く時を持った。

 以上を踏まえ、全体協議では、様々な意見が述べられた。特に、教団、教区、教会の役割について、「伝道するのは教会であって、教団がすべきことは教会の伝道をいかに支えるか」という意見や、今回、全教区が出席していないこと、距離を置いている沖縄教区から、教区の申し込みを経ず参加者があることを指摘しつつ、「教区を軽んじるべきではない」という意見があった。沖縄教区からの参加者は、沖縄には、和解のために歩み寄ることへの求めがあることを紹介しながら、「伝道が進展しない原因は、キリスト者が和解して一つになっていないから」と述べた。

 その他、「教団から委員会に問われたことに対し、真剣に議論し応じても、まともな返答が無かった。聞く姿勢が無いことが、宣教基礎理論が進まない原因」等の意見があった。 (嶋田恵悟報)

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