「最近ようやく人生の出来事の辻褄が合って来た」。迷い、悩むことの多かった自身の歩みを振り返りつつ、小野なおみさんは語る。何のつながりも見いだせなかった一つ一つの出来事が結び合って行くような感覚だという。
4代目のクリスチャン。幼児洗礼を受け、20歳で信仰告白。劇的な回心の体験があったわけではない。
音大で音楽理論を学ぶことを志したが、「オルガン科なら」とピアノの先生から言われ、オルガン科に進んだ。
教会オルガニストであった祖母が目標のようになっていたのかもしれないが、それを自覚したのは後になってからだ。リードオルガンしか知らない祖母のアドバイスは、奏法が異なるパイプオルガンに取り組む自身のためにはならないように思えた時期もある。
音大卒業後、フランスに留学、充実した学びの時を過ごした。その学びを活かし、宮城学院女子大学で教え、東北学院、尚絅学院でもオルガニストとして働く他、定期的に演奏会も開いている。
更に、2012年からは、東北教区センターエマオのスタッフとしての働きも加わった。オルガン講座を担当する他、企画、運営にも携わる。多くの教職、信徒と接する機会を与えられた。その出会いが発展し、自身が属する仙台東六番丁教会の他に、奏楽者がいない教会を巡り、奏楽や指導に当たる。
教会の奉仕では、音大の学びとは違ったことが求められる。小さな教会に赴いてリードオルガンを奏でる時、その温かい音色と共に、忘れていた祖母の言葉が甦って来る。
今はまだおぼろげにしか見えていない。しかし、終わりの日にははっきりと分かる。主の御計画の完成を楽しみにしつつ、与えられた務めに励んで行きたいと語る。
仙台東六番丁教会員。宮城学院女子大学講師。