【4875号】人ひととき 伊藤由紀子さん 被爆二世として 連帯を生きる

 本州最西端の町、下関は、関門海峡を挟んで眼前に九州、門司港が望める。国内外の船舶が往来したこの下関の中心街で、伊藤由紀子さんは、祖父の代からの骨董店を継ぎ、ギャラリー喫茶を営んでいる。

 伊藤さんは、地元のミッションスクール、梅光女学院に進学し、キリスト教に出会う。当時の恩師、詩人の森田進氏が繰り返した聖句が、今も耳に残る。「後ろのものを忘れ、前のものに全身を向けよ」(フィリピ3・13)。卒業後は後ろのものを忘れた。美大進学のため上京するも、キリスト教を振り返ることはなかった。しかし、主は、伊藤さんを忘れなかった。美大を卒業して地元に帰ると、ふと教会へ足が向いた。就職し、病を得、紆余曲折あったが、「気づいたときには、洗礼の水がここ(頭)にあった」と笑う。伊藤さんの店は、常連客や梅光女学院OGの憩いの場だ。

 伊藤さんは、被爆二世である。当時16歳だった母は、建物疎開に向かう途中、爆心地から2キロ地点で被爆した。気づくと蓮畑の中に倒れており、夢中で惨状から山へと逃れる。逃げ出す時に異臭がし、見ると自分の肩から煙が出ていた。川の方から「アイゴー」という呻き声がした。身体に火傷痕が残る母は、幼い伊藤さんに、生々しい被爆体験を繰り返し語り聞かせたが、そのトラウマから被爆の映像を見ることはなかった。

 被爆影響の有無は、人生の時間をかけなければわからない。被爆二世であることを打ち明けると離れ去る人もいた。ひたすら「前のものに全身を向け」た。結婚には被爆二世であることを告げ、受け入れられたが、「自分の中に悪いものがある」という感覚は消えず、出産の度に子の健康に不安を抱いた。この不安は多くの人々の中で生き続け、また新たに生み出されている。原発や核実験の報道の中、映像には現れない、見えざる不安を負う人々と連帯したいと伊藤さんは語り、祈る。

ギャラリー喫茶「ギャラリー茶々」店主。下関教会員。

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