「幼い頃は、教会の庭がいつもみんなの遊び場でした」。梶原友広さんは懐かしそうにそう語ってくれた。小学生の頃は学校から帰ると自宅の隣の教会で、友達と暗くなるまで遊ぶのが毎日の楽しみだった。しかしその時にはまだ、日曜日に礼拝堂に足を踏み入れることはなかった。
やがて成人したとき、自宅のポストにクリスマス・イブ礼拝の案内チラシが入っていた。ご近所付き合いのあった当時の牧師の誘いもあってクリスマス・イブ礼拝に初めて参加した。それが生まれて初めての礼拝だった。それ以来、年に一度クリスマス・イブには教会の礼拝に参加するようになった。
転機が訪れたのは2011年3月11日に起こった東日本大震災。自宅は少し高台にあったため、津波の直接の被害はなかったが、最愛の叔父が犠牲になった。「大好きだった叔父を助けてあげられなかった」、しばらくはその無力感に苛まれた。そうした中で「神さまにすべてを委ねて、慰めを与えられたい」という思いに駆られて、日曜日の礼拝に足を運ぶようになった。
毎週の礼拝を通して「自分自身は無力だが、神さまに祈ることはできる」。このことへと目が開かれていき、次第に「イエス・キリストが自分のために十字架の死を引き受けてくださった」、「悲しみのただ中に復活の主が共にいてくださる」、この福音に生かされていることを確信するようになった。そして主の導きにより2012年のクリスマスに洗礼を受けた。かつては自分にとって遊び場だった教会が、今は喜びをもって神を礼拝する場となっている。洗礼式の時に教会から贈られた聖書に記されていたみ言葉をいつも握りしめている。「主において常に喜びなさい」(フィリピ4・4)。今も、そしてこの先もイエス・キリストを喜びとして歩んでいきたい。そう強く願っている。
1978年石巻生まれ。2012年に受洗。石巻山城町教会員。