3月28日、部落解放センター主催による「第30回神学校等人権教育懇談会」が教団会議室にて開催された。8つの神学校と関係団体から13名の参加があった。農村伝道神学校・大倉一郎氏による開会礼拝に続き、東谷誠部落解放センター運営委員長より現在もなお部落差別事件が頻発している状況が報告され、教師として宣教に仕える人たちへの人権教育の重要性が訴えられた。
その報告を受け、各神学校代表の参加者から、それぞれの取り組みの紹介をしてもらい、人権教育への熱意と取り組みの積み重ねを聞くことができた。
今回のメインプログラムは、日本バプテスト神学校の渡邊さゆり氏による発題「性によって差別することについて~神学教育の中で考えさせられること~」だった。渡邊氏自身の被差別体験、バプテスト神学校での取り組みの実践とその変遷、そして聖書を読む視点まで、丁寧に語られた。
その中で示されたことは、残念ながら教会は今なお差別的な存在であり続けている、ということだ。「マンスプレイニング」男性的視点からの説明・押しつけが、聖書の権威をまとって教会の中に居座り続けている。多くの教会は、それが差別であり間違いであることに気づくことができないでいる。神学校で学び、やがてフィールドに遣わされていく働き人たちが、この現実を変えていく力を備えられるよう願う。各神学校の人権教育への取り組みにもいっそうの期待が寄せられる。
次回の人権教育懇談会は1年後に予定されている。日本基督教団において、同性愛者が教師になることを巡って議論が沸騰してから約20年が経過する。現在はLGBTを巡る社会認識も大きく変化してきた。この課題を今日的視点で捉え直すことを主題として行われる予定である。(斎藤成二報)