信仰・教会の筋道を身につけるよう
2月21日から23日にかけて、春季教師検定試験が行われた。今回の検定試験の受験者数は、補教師試験50名(AコースからCⅡコースまでを含む)、正教師試験14名、計64名であった。今回の春の検定試験は耐震補強工事が終了していたので、日本キリスト教会館(東京・早稲田)にて開催された。
試験全体の印象は次の通りであった。まず、補教師の提出試験である釈義と説教は、旧約はネヘミヤ記、新約はマタイによる福音書からが課題箇所であった。旧約に関しては、内容的には取り組みやすい箇所ではあったが、テキストの背景的なところまで深くとらえ、踏まえて語る説教が少なかったことは残念な点であった。民の涙を流すほどの苦しみと、喜びへの宣言の展開に丁寧に焦点を当てて欲しかった。
新約は「十人のおとめ」のたとえ話であったが、イメージしやすいテキストであったため、取り組みやすかったと思われる。一方で、イメージしやすいがためにそのイメージにとらわれすぎて、テキストが目指している終末まで語り切れず、道徳的になってしまう説教も散見された。やはり毎回確認させられることであるが、釈義の大切さを痛感する。補教師はコースによっては釈義が採点対象になっていないこともあるが、説教を準備する上で欠かすことのできない重要な作業であることを、これからも覚えてもらいたい。
筆記試験の印象は次の通りであった。「教憲教規および諸規則・宗教法人法」の試験は、おおむね皆良くできていた。近年、教憲教規が単なる規則ではなく、教団の教会を作り上げるために必要なものであることを問うような設問が掲げられてきた。そしてこの点を踏まえて良く準備して試験に臨んでいたと思われる。とは言え、まだ明瞭さに欠ける解答も散見されるので、神学的に論じることの訓練を今後とも積み重ねてもらいたいと願っている。
組織神学は、組織神学的に考える点でまだ不足感が否めない。教会の現場で大切になる言葉を獲得するために組織神学を大切にしてもらいたいと願う。聖書神学については、旧約、新約ともに聖書の理解が狭いように思われた。聖書を一面的に捉え、俯瞰的に捉える力の不足を今回も感じた。やはり基本的なこととして、聖書が精読されているかどうかが解答に現れているように感じられた。
教師となることは召命とのかかわりがあるので、面接もまた試験であることを全体会で説明し、面接に臨んでもらっているが、今回も同様に行った。個人面接試験では、自分自身の言葉で答えるよう促しているが、その中で受験者の生の声に触れることは良い点であると言えよう。このように、面接を試験として行うことは、委員の負担も大きくなるが、面接試験を通して主の召しを共に確認し、喜びを分かち合う場が与えられていることは幸いな点であると言える。
試験の結果、判定が保留となった者たちの再レポート課題の提出、そして採点が行われ、3月21日の教団三役会において報告され、承認される。
今回も、教師検定規則3条6号対象者(Cコース受験志願者)2名の認定面接が行われた。受験志願者の召命の確認や、受験に向けての説明を丁寧に行うことができた。次回の認定面接は、秋季検定試験後に行う予定にしている。
(服部 修報)
講 評
主の御守りの中で、春季教師検定試験を行うことができました。春はおもに補教師のための試験となりますが、各受験者が主の召しに応える良い試験となりました。
筆記試験は、教師として必要な事柄、また基本的なことを問いました。特に教憲教規の試験においては、近年その筋道を問う設問を続けてきました。その傾向を踏まえてか、よく準備した良質な解答が多くありました。
提出試験における説教は、釈義の力不足が目立ちました。そのため説教もテキストの中心から逸れてしまっていました。また面接におけるやり取りの中で、信仰の筋道が曖昧であったり、教会観が個人的な受験者も何人かいました。正教師に向けて、信仰および教会の筋道をしっかり身につけていただきたいと願います。
第39総会期 教師検定委員長 鷹澤 匠
2017年春季・補教師検定試験問題
教憲教規および諸規則・宗教法人法(60分)(A,B,CⅢ)
次の2題に答えてください。
1.『日本基督教団信仰告白』が告白する「教会は主キリストの体」について、『教憲教規および諸規則』が述べる「公同教会」の理解を踏まえて論じてください。
2.宗教法人である教会が所轄庁の認証を受けなければならない事項について、『宗教法人法』の条項を指摘しつつ述べてください。
旧約聖書神学(60分)(B,CⅢ)
次の2題に答えてください。
1.創世記1章および2章に記される人間の創造について、神学的に論じてください。
2.イスラエルの選びについて、旧約聖書のテキストをいくつか挙げつつ、あなた自身への神の選びと召命との関係について論じてください。
新約聖書神学(60分)(B,CⅢ)
次の2題を、新約聖書のテキストをいくつか挙げつつ、答えてください。
1.共観福音書におけるメシアの理解について、述べてください。
2.パウロ書簡における人間の理解について、述べてください。