3月22日午後、近江平安教会で、部落解放センター第29回神学校等人権教育懇談会が行われた。
6神学校7名の教師と関係者含めて14名の参加者を得て、「賀川豊彦について」の研修を行った。開会礼拝は、近江平安教会牧師の谷本一広さんがマーティン・ルーサーキング牧師の墓石に刻まれたアモス書6章24節の言葉にうながされて、自分史を語られた。牛追いの生活の中から聖書に出会い、村ではじめて高校進学をし、働きながら神学校に通い、アフリカ系アメリカ人が多く通う大学に留学し、WCCの人権委員会のメンバーとなり、インドのダリッドの神学校で学んできた体験と一貫してイエスの福音について教えられ続けていることの証であった。
研修会の講師は、吉澤惠次さん(センター活動委員)が「賀川豊彦」について、共観福音書の「大きな石臼」に関わるたとえ話を比較検討しながらお話を始められ、『賀川豊彦全集』、『資料集「賀川豊彦全集」と部落差別』、生田川の夜明けなどの資料にあたりながら、「牧会的配慮」という教職者の陥り易い「罠」に気付かない事を語られ、賀川の「貧民心理の研究」にみられる「人種起源説」は、被差別部落を差別する上で、韓国・朝鮮人、中国人への差別意識でもあることが指摘された。それを受けて参加者の活発な議論がなされた。実践神学とフィールドとの関わり方について、自己目的化するひとりよがりの福音理解、人と出会って行く聖書の読み、贖罪の捉え方、賀川の満洲における戦争責任、アイヌ収奪、大学の組織のもつ問題、戸籍制度と天皇制について…多岐にわたる議論が熱心に交わされた。
次回は2017年3月28日、礼拝担当が大倉一郎さん(農村伝道神学校)、研修としての話題提供者が渡邊さゆりさん(日本バプテスト神学校)と決まった。(鳥井新平報)