「障がい」を考える小委員会が主催する第4回全国交流会が、9月2~3日、新宿・戸山サンライズにおいて開催された。今回は、「牧会者ならびにその家族の精神的なケアを考える」交流会として、講師に藤掛明氏(聖学院大学准教授)を迎えた。牧会者とその家族を中心に14教区35名が出席した。
1日目には、「牧会者のストレスとメンタルヘルス」をテーマとする講演であった。牧師のストレス研究では、教職同士や信徒とのパワー争い、信徒へのサービスによる消耗、自己や家族の問題等がバーンアウトの要因の上位を占めること等が紹介された。牧会者は、援助者役割が身に染みており、自らに影の世界が無いかのごとく振る舞う。いかに援助者役割を解き、光と影を統合していくか。「SOSサイン」や素の自分に向き合うための「気晴らし行動」、「語り合うこと」の重要性について話された。夕べの分団は、講演内容を分かち合い、それぞれの課題が自由に語られる場となった。
2日目は「教会とパーソナリティ障がい」をテーマとした。教会でトラブルが増えている、境界性/自己愛性パーソナリティ障がいについて学んだ。パーソナリティ障がいの認知は進んでいるが、対処法については専門家の間でも研究途上にあり、教会がどう対応するかは、これからの課題となる。教会特有の環境が、問題を難しくしてしまう面も否定できない。それでも、障がいについての理解が深まれば、危険を回避することができる。状況を一変させることではなく、状況に「細く長く」向き合い続けることが大切であると述べられた。
近年、教会とのコミュニケーションの問題で、牧会者やその家族が病み、うつや不祥事、自ら命を絶つ事態が後を絶たない。教団の中に対応できる窓口がないまま、課題は深刻化している。牧会者や各個教会が孤立しないための手立てを考えていく中に、今回の全国交流会の場が生まれた。弱さを自覚し、解決の見えない課題に失望せず、「細く長く」取り組んでいくことが求められている。(上竹裕子報)