日本キリスト教団部落解放センター主催「第17回部落解放青年ゼミナール」は「人間(じんかん)に光あれ ~怒りから光へ」というテーマのもと、8月26日~29日広島県広島市・呉市・福山市にて開催された。開催地のみならず全国各地から他教派から、部分参加も含め50名近い参加者となった。
具体的な活動としては、部落解放の基礎を学ぶ入門講座や狭山事件についての発題、また被差別部落内で牛の育成から屠畜・精肉販売までを担ってきた一家のドキュメンタリー「ある精肉店のはなし」上映会、被差別部落を巡りその歩みを伺うフィールドワークなど、4日間の内に様々な課題が詰め込まれた。もちろん、これらをフォローするために毎夜話し合いが持たれ、活発な意見交換がなされた。
参加者は、長く部落解放へ向き合ってきた者から、全くの初心者まで様々であったが、自分自身の持てる言葉で今の思いを表現し、だれも疎外されるような思いをせずにそこに加わっていた。この空気感が青年ゼミの良さの一つと言えるだろう。
さて、広島での開催は今回が初めてだ。今ゼミの募集文には「これまで長く関西で開かれてきた中で、ある意味そこに安住している状態から一度抜け出し、新しい人々との出会いの中で、寝ている私たちが起こされに行こうではないか」と記してある。これは、全く違う場所に住み課題に向き合っている方々の間(人間・じんかん)から私たちが新たに気づくことがきっとあるだろう、という準備委員会内での意見を文章化したものだ。
実際にゼミを終えて思うには、この願いはおおむね達成されたということだ。参加者にとっても、スタッフにとっても、現地である西中国教区の人々にとっても、この開催は一陣の風、眠りからたたき起こされる体験だった。このゼミを一つの起点として、今心の中に吹いている風を凪にすることなく、いよいよ課題に向き合っていって欲しい。(後藤 慧報)