2014年7月31日から8月2日まで、早稲田教会・早稲田奉仕園を会場に「部落解放青年ゼミナール大集合!」が行われ、広島、大阪、東京から20名の仲間が集まりました。青年ゼミは、青年たちが部落差別の課題と出会い、差別からの解放について考え学び合う場として、1998年から16年にわたって毎年続けられてきました。各地でそれぞれの青年ゼミを生きてきた参加者がもう一度集まり、直面し抱えている悩みや思いを分かち合う集まりになることを願い、プログラムが企画されました。
2日目には埼玉県狭山市を訪ね、石川一雄さん・石川佐智子さんにお会いし、狭山事件について学びました。狭山事件の背景には根強い部落差別があり、そうした偏見によって石川一雄さんは逮捕され冤罪が生み出されました。フィールドワークで警察の調書どおりに現場を歩いたときにも、調書内容の多くに不可解な点があることを知り、狭山事件が作られた冤罪事件であることを実感しました。「わたしたちが見聞きしたことを、わたしたち自身が新たな〈証言者〉として、石川さんの無実を証明する証拠があるということをしっかりと伝えていきたい」。振り返りの中で語られた参加者の声は、参加者全員の気持ちを言葉にしてくれたように思います。
参加者同士の分かち合いで語られた言葉も印象的でした。「水平社宣言の一文『人間に光りあれ』の『人間』を『にんげん』だけではなく『じんかん』、〈人と人との間〉と読ませる節がある。それはイエスが語った『神の国はあなたがたの間にある』という言葉を思い起こさせるものだ。人と人との間に光が射し込み、そこに〈神の国〉がある。そのことに希望を置きたい。」
「部落解放」というテーマは、差別している人も差別されている人も共に差別から〈解放〉されることをめざすものです。差別や偏見によって歪められている人間関係を〈水平〉にしていく、差別という不自由から〈解放〉されていく働きを共に担っていきたい。そんな思いを共有する集まりとなりました。(有住 航報)