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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4803・04号】第38総会期 第6回常議員会

2014年8月9日

伝道資金案二分割、教団総会に提案

 今常議員会中最も議論に時間が割かれたのが「伝道資金規則制定に関する件」であった。議案は「教区活動連帯金を廃止する件」と共に上程された。議案提案者は、共に教区活動連帯金検討委員会である。

 提案理由として、教区活動連帯金の廃止については、「この制度は当初より規定がなく、教団総会においても、会計報告や活動報告がないこと等が厳しく追求されることがあり、また、機構改正当初に決議された全教区拠出が行われたことはない。連帯が崩壊し連帯金脱退、搬出留保、受け入れ辞退等の状況が生まれたことから、各教区の主体性、自主性を尊重しつつ、教会間、教区間の相互信頼に基づいた新制度をつくるため教区活動連帯金を廃止する」としている。

 伝道資金制度規則については、提案理由の中で要点として「本制度は伝道を大目的とし、教規第153条に基づく負担金として全教区が納付する。納付額や交付金は予算決算委員会や常議員会で決定されることにより、制度が教団機構の中で正式に位置づけられることになる」と謳っている。また、「交付金はできるだけ全教区に交付し、交付金を受けた教区は交付金を如何に用いたか次年度に報告する。申請に関係する援助教会に未受洗者配餐等、日本基督教団信仰告白、教憲・教規に違反する姿勢の教師または教会を加えてはならない」とする伝道資金運用指針案も示された。

 伝道資金制度は今年度の各教区総会で大きな議論になっており、特に、北海・奥羽・兵庫・西中国・九州の各教区総会においては制度の再考を求める議決がされ、今常議員会の資料の中にもそれらの要望書が添付されていた。また、東海教区は制度への反対議決を総会でしている。

 各教区議長から伝道資金制度に関する意見を聞くというところから議論は始められ、前述した各教区からは当然再考を求める意見が聞かれ、その多くは現行の教区活動連帯金の存続を求めるものであった。一方で、現行の教区活動連帯金については、検討委員会の判断と同様に、制度の教団内での位置づけの不明瞭さや、制度の行き詰まりを指摘する声が多く聞かれ、新しい制度が必要だという意見も多くの教区からあった。加えて、伝道資金制度について教区では特に話題になっていないという教区もいくつかあった。

 教区議長以外からの意見として、新制度に関して説明不足、これ以上の負担増は耐えられない等の反対意見があり、賛成意見として、教団全体のことを考えるならば負担はやむなし、互助より伝道を優先すべきという意見が聞かれた。採決の結果、賛成多数で「教区活動連帯金を廃止する件」は可決し、28名中17名の賛成で、具体的な規則の内容に関する議論がほとんどなされないまま「伝道資金規則制定に関する件」は可決された。廃止案、制定案、両案とも、教団総会に議案として提案される。(小林信人報)

 

教団と神学校の関係を議論

 「教師養成制度検討会議答申」に関する件が扱われ、質疑応答がなされた。「認可神学校、教団立神学校の歴史記述の部分はどのように調査したのか」との質問、「教師委員会が神学校に関する事柄を取り扱うことができるかについて議論がある」「教師の生涯教育制度の構築・整備」などの記述を巡る質問があり、岡本知之座長は「教団新報と教団史資料集を用いた。認可神学校、教団立神学校などに資料の提供は求めていない」「神学校委員会が果たした機能、各神学校教師の話し合いがなくなってしまった。今日の教師委員会がそれをするのは難しい。回復していく願望がある。『教師の生涯教育制度』については何らか具体化できるもの、実現可能であるものから着手してほしいと願った。豊かな伝道力、御言葉に仕えていく力の養成、教会形成の力、法的・組織的諸規則をよく理解するなど、教師の生涯教育として豊かな経験を身に着けていくことを希望する」と答えた。

 芳賀力東京神学大学学長は「教師養成について、まず教授会で意見をまとめて7月1日時点、会合で話し合った。私どもも、教師養成の内実を高めていこうと思いを共有している。教師検定のあり方、補教師試験に至る期間が重要である。単に学力を考査するのではなく献身して訓練を受けていると理解してほしい。『答申書内容』を実行するなら、神学校とよく協議してほしい。教団立神学校の学問的自由を重んじてほしい。東京神学大学を教団の一所属機関であるような記述は改めてほしい。『Aコース』『Bコース』の内実を問うことが必要ではないか。教団が継続教育に力を入れてほしいし、そのことに東京神学大学として協力できることはあると思う」と述べた。また東京神学大学教授会からの「教師養成制度検討会議答申(2014年2月3日)について」との文書が配布された。

 岡本座長は「かつて神学校委員会がもっていた機能を回復し、そのプロセスを大事にしなくてはならない。教団と神学校との関係が一方的であってはならない。協議を通して意見を受け入れていくべきと考える」と述べ、菅原力常議員は検討会議メンバーの一人として、「教師養成について教団が神学校に丸投げせず、どのようにコミットしていくのか場作りが必要。それを実質的に教師委員会が担うのは難しい。再構築する必要がある」と語った。

 この答申の扱い方について、岡本座長は「石橋秀雄議長の諮問に対する答申なので、公式に議長の権限で決めるべき。東京神学大学教授会からの意見書も議長の判断で配られた。答申書作成は一つの指針を出すものではないので、各神学校と協議することは控えた。東京神学大学教授会からの意見書にある『東京神学大学に求められること』という表現については反省する。『期待すること』にすべきであった」と述べた。

 石橋議長は「重要な議論を感謝。今後の取扱いについては39総会期に具体的取り組みを始めるよう申し送りたい」と述べ、承認された。(松本のぞみ報)

 

決算書形式を整備

 2日目の午後、「2013年度第2次予算補正」、「2013年度決算承認」、「2014年度実行予算承認」の3議案が協議された。

 愛澤豊重予決委員長が資料に基づき報告。

 2次補正に関して、以下の補正を報告した。

 「事業活動収入」、「繰入金収入」が、「特定活動資金引当金」450万円を取崩し、積立金に積み立て、前年度日米宣教師フォーラム会計から東日本大震災国際会議会計に繰り入れた59万9569円を戻し入れ、509万9569円増。

 「事業活動支出」においては、予算不足による「人件費」、「法定福利費」の増加、退職者追加による「退職金」増加によって、263万2000円増、「事務所費」、「雑費」で86万6700円増、また、「部落解放センター繰出金」で、センター人件費の給与定昇分の見込み不足等があり42万円増。

 「投資活動収支の部」において、「投資活動収入、退職給付引当資産取崩収入」が、147万4043円増。

 2013年度決算承認において、愛澤委員長は、決算書が公益法人会計形式になり、今まで、ⅠとⅡに分けていたものを一つにまとめたことを報告。経常会計、特別会計の合算表が出され、教団全体の動きが見えるようになった他、「収支計算書」、「貸借対照表」に加えて、「正味財産増減計算書」が載るようになった。

 また、13年度も、被災教会支援に全力を投入、被災教区負担金減免を被災外教区で分担して行ったことを告げた。収益事業における、500万円の繰入金収入については、新報購読料であり、本来、売上に入るべきものを概算として入れていること、収益事業の赤字は約90万となり大幅に縮小したことを説明した。

 2014年度実行予算案については、2013年度収支差額を2014年度に繰り入れたものであることを説明。

 続けて監査報告が行われた。服部能幸監査委員長は、全体として、良い状況で推移していると告げた他、本来、決算書の内訳として乗せるべきである、借入金と貸付金の詳細を監査報告書に載せたことを報告。

 監査報告に対して、長期貸付金で、関東教区の羽生伝道所と合併手続きを行っている、西東京教区の東京復活教会につき、貸付した際の目的が実行されているかをチェックしているのかとの指摘があった。大三島義孝幹事は確認をすると応じた他、真壁巌西東京教区議長が現状を報告した。

 以上の3案は賛成多数で承認された。(嶋田恵悟報)

 

国際会議報告、EMS来訪

 1日目、伊藤瑞男副議長が、3月11日から14日に開催され、教団初の国際会議となった東日本大震災国際会議の報告を行なった。

 会議は海外参加者80名、国内参加者170名という当初の予想を上回る参加人数となったこと、会議後に集められたアンケートの結果では海外参加者から高い評価を得たこと、8月末には、国際会議報告書を日本語・英語で作成予定であることが報告された。

 また、会議中に作成され、4月7日付で発表された国際会議宣言文は、国内外の関係諸教会、諸団体その他に送付された。特に、EMS(連帯福音宣教会)では、6月に韓国で行われた常任委員会において、宣言文を受け入れ、加盟教会・団体に配布する動議を決議。11月開催の総会に議案として提出予定であり、EMS全体の宣言文として採択しようとの動きがあることが報告された。

 また、今常議員会中、EMSのJ・ライヒェル総幹事、L・ドレッシャー幹事、S・クルーガー宣教師が来訪した。石橋秀雄総会議長が歓迎の挨拶と東日本大震災の献金に対する感謝を述べた後、ライヒェル総幹事は、「今後も、日本基督教団とEMSの関係諸団体との交流を深めていきたい。教団がEMSの活動にただ参加をするという受け身ではなく、主体的に関わる存在として活動に加わってもらい、新しいミッションを進めていきたい。相互が近づき、協力することを願っている」と挨拶。教団とEMSの更なる協力を願い、互いに記念品を渡し合う一幕があった。(佐藤 進報)

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