東日本大震災被災教会の宇都宮教会会堂献堂式が、6月15日、関東、東京、中部教区の33教会、120人が出席して行われた。
献堂式で木村太郎牧師は、「甦りの主の下に」と題する説教で、「会堂建築は、単に建物の建築でなく、教会形成、教会の信仰を形作るものだった。
3月11日、金曜日午後の大震災直後、何人かの兄弟姉妹が教会に来てくれた。天井が崩落し、無数のひびが入った壁を見上げても、言葉を交わすこともなく、黙々と会堂の清掃に取り掛かった。翌土曜日、何とかして礼拝の場所を作ろうと、講壇を1階の集会室に降ろした。
会堂を再建しようと決めた後も、小さな波乱は幾つか起きた。設計者が設計途中で病死し、『幻に終わるのか』とも思ったが、その葬儀で、教会建築を手掛けた設計者と出会った。隣接のビル一室での仮会堂は、姉妹の葬儀からスタートした。この時私は、主の導きと深い思いがあること、死の先に甦りの命があることを、改めて信じることが出来た。
宇都宮教会は、来年創立130周年を迎える。その歴史の一端を想い、深い畏れと身の引き締まりを覚える」と語った。
旧会堂は、1959年、木造、一部鉄筋、特産の大谷石を張り付けた趣のある会堂だったが、東日本大震災後の建築診断は、「次の大震災で倒壊の怖れ」だった。
牧師館の水道が破裂し、牧師館を外部に求めたこともあり、「会員35人、資金ゼロ、当初は茫然と立ち尽くした」(片岡大作・建築委員長)が、2011年10月の臨時総会で「現在地に再建しよう」と全員が一つになった。
鉄骨3階建て、延べ396㎡。2・3階吹き抜けの礼拝堂は、太陽光を取り込み、聖餐卓を囲むように左右に広がる。総工費1億2千452万円、教団支援6千447万円、教団貸付3千950万円、残りは自己資金、全国からの献金でまかなった。
献堂式に引き続き、階下の多目的ホールで行われた祝会で、秋山徹関東教区議長(上尾合同)は、「関東教区で4教会が建て替えを余儀なくされたが、1億円を超える再建は、当初考えられないことだった。大きな壁、課題があったが、涙で蒔いた種を、喜びの声で刈り取ることが出来た。主が働いて下さっていることを実感している」と語った。
出席者が1人ずつ、宇都宮教会との交わり、大震災のこと、再建のことを語り合った。皆が大きくうなずき、時に涙し、励ましを受けた献堂式となった。(永井清陽報)