キリストを土台とする建築士
大きな身体に柔和な笑顔がトレードマークの松下さん。
二年前、さいたま市から児童養護施設の基本計画策定を依頼された彼は、キリストの愛の精神を活かした施設を設計建築しようと試みた。養護施設よリ家庭的養護の場としてのノーマライゼーションを設計方針として取り組んだ。既存のキリスト教施設や、牧師の意見を参考にしながら設計を完成した。しかし、従来の行政指導の施設運営では、設計理念が生かされるか危惧していた。
このような時に、主の不思議な導きにより施設長が民間から浦和東教会員の九里氏に決定し、キリストの愛に根ざした運営がなされた。子供達がいきいきと生活する様子に県内外から注目と、多くの期待が寄せられた。
超過密スケジュールの中から十一月、中越地震のボランティアの一員として小出・見附へと出向き、被災された教会や教会員の建物を調査。耐震診断士としての専門的知識を活かして様々な角度から耐力を増強する耐震補強方針を作成し夫々に補修や改築の提案をした。又、十二月には関東教区の妙高高原にある研修施設「向山荘」にも出向いて、耐震診断に加えて将来の展望まで提示してくれた。
これらの体験から彼はひとつの目標を得た。「教団や教区が立ち上げた支援センターに各種専門的資格者が奉仕者として自主的に事前登録して頂き緊急時に備える、いろいろな賜物を持つ共同体である教会の特色を活かして災害の救援支援が的確にできることでしょう」と穏やかな口調で語った。
私たちの平時の心得として、建物の平面図や立面図・断面図の図面に加え過去の天災人災の被害の建物の歴史等を保管することの重要性を挙げた。
人間に定期的な健康診断が必要なように、建物もある時期に劣化や耐力を知る為の健康診断が重要であると、トレードマークの笑顔が教えてくれた。