【4575号】教務教師 神学教師からの声

心の隙間
塩見 耕一
(北星学園余市高等学校宗教主任)

北星学園余市高校。この何年か「ヤンキー先生」という愛称で義家弘介先生が話題になった学校です。それ以前から高校中退生や不登校経験者などを積極的に受け入れてきた高校です。
転編入制度を設け、こうした生徒たちを日本全国から受け入れ始めたのは今から十八年前でした。このときからこの学校は全国の若者が抱えている問題の噴出する最先端の場となったのです。暴力、いじめ、などはそれ以前からもありました。そうしたことに逃げずに正面から取り組み、生徒たちと一緒に集団の中で問題を解決してきたという自信があったから新しい歩に踏み出したのです。しかし、そこに集まった若者は義家少年をはじめ心に痛みを抱えやり場のないいらだちを抱えた子ども達だったのです。格闘の日々が始まりました。ありったけの知恵と力を出し合って祈りつつ対決する毎日でした。
時代と共に常に若者を取り巻く最先端の問題がこの学校には持ち込まれてきました。最近の課題は薬物問題と携帯電話の出会い系サイトの問題です。薬物の問題はアメリカなどでは教育の最重要課題として捉えられているということを聞いたことがあります。日本でも若者を取り巻く実態を知れば知るほど、驚くほど身近なところにごく当たり前のように存在しているのです。都会も地方も関係ありません。また、最近は心療内科などで大量に処方される抗うつ剤、睡眠薬などの処方薬乱用も大人が気付かない間に急速に広がっています。また、携帯電話から気軽にアクセスできる出会い系サイト、そこにもお金をほしがる女の子の心の隙間につけ込みそれを利用しようと待ちかまえている醜い大人達が巣くっているのです。たった一度の過ちから管理売春の組織に組み込まれていったり、薬物の地獄に引き込まれていってしまいかねないのです。とにかく若者を取り巻く現代の環境は私達の想像をはるかに超えて危険に満ちあふれています。
危険に満ちあふれたこの状況の中でどのように子ども達を救っていけるのでしょうか。もちろん全ての子どもがこうした罠にはまっていくわけではありません。心に癒されない痛みを抱えている子、大きな不安を抱えている子、希望を持てずに迷っている子、自分の人生を諦めてしまっている子。こうした子ども達が抱える心の隙間に忍び寄ってくるのです。しかし、思春期のまっただ中にいる彼らにとって、こうした心理状況は決して特別なものではありません。誰にでもその危険性はあるのです。
北星余市の校歌の最後に「仲間、友情、団結」というフレーズがあります。今時「死語」のように感じるかもしれません。しかし、こうした深刻な状況に直面するたびに私達は、糸口はこれしかないという結論に達しています。子ども達の心の隙を狙ってくるこうした問題に立ち向かうには人間関係の中で心の隙間を埋めていくしかないのです。しっかりとした仲間の関係の中に立つものは仮面の下に隠れている正体を見抜くことも出来るし、はまりそうになっている仲間を救い出すことも出来るのです。具体的には生活改善運動(日常の生活の細かいところからダメな物はダメと言い合える人間関係作り)の展開などをしています。寮生活なども含め上っ面の付き合いではやっていけません。
凍り付いたような新入生の表情が雪解けのようにみるみる軟らかくなっていきます。そこには本当に無邪気な少年少女の姿が戻ってきます。未来に目を輝かせるかけがえのない若者がここにもいます。

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