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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4597号】宣教課題としての外国人住民基本法 第20回外キ協全国協議会・全国集会

2006年2月25日

二〇〇六年一月一九~二一日、広島を会場に「第20回外キ協全国協議会」「同全国集会」が開催された。協議会では〈宣教課題としての外国人住民基本法-戦争と排外の時代に「外国人住民基本法」制定運動を展望する〉を主題として、三日間にわたり熱心な討議が交わされたが、これに先立ち今回も現場研修が設定された。広島YMCAの皆さんの案内により平和公園、広島城跡にある旧大本営跡などを巡ったが、特に朝鮮人原爆犠牲者慰霊碑については、協議会で証言された在日大韓基督教会広島教会の金信煥名誉牧師のお話とも直接結びついて心を揺さぶられた。大本営跡、護国神社ではまさに軍都「廣島」が記憶から蘇るようで、平和都市「ヒロシマ」の背後にあるおぞましさに触れ、背筋が寒くなった。
協議会は在日大韓基督教会広島教会の中江洋一牧師の力のこもった説教で始まり、夜の公開講座では古屋哲さんから「新たな入管指紋制度」についてみっちり学んだ。外キ協でも今国会に提出されようとしている「入管法・外登法改定案」については様々な角度から危惧を抱いているが、そこに潜む新しい形の外国人管理体制の危険性をまざまざと見せつけられる思いであった。事態は予想外に進展しており、改定案が施行されれば、外国人のみならず、日本人も否応なく新たな管理体制に組み込まれていくことは必至である。事は決して指紋だけの問題ではない。やがては国家が、我々一人ひとりのプライバシーをかなりの範囲で掌握してしまうという重大な問題を孕んでいる。外国人の人権を守ることは間違いなく我々日本人の人権を守ることにつながっていることを確認できた。質疑応答の中でも論じられたが行き着くところはキリスト者としてどのような人間観を抱くか、という点に関わってこよう。
二日目は廿日市教会柴田もゆる牧師の聖書研究から始まり、テキストを通して人間の絶対化の問題に切り込んでいただいた。前出金牧師の証言は、四〇年にわたり牧会と平行してなされてきた在韓被爆者支援活動である。世界平和大会で掲げられてきた「日本人が世界で唯一の被爆国民です」という表現には外国人被爆者が欠落していることを痛烈に批判され、半島出身者五万人の被爆(うち三万人が被爆死)を日本という国がどう扱ってきたかを明らかにされた。支援運動に心ある日本人医師が中心的に働かれた事実だけが聴く我々の心に平安を与えてくれた。
発題は外キ協事務局から三人が行ったが、軸となった第一点は、これまで取り組まれてきた「外国人住民基本法」制定運動の分析と今後の具体的展開に関することで、第二点は昨秋弁護士や研究者等と結成した「外国人人権法連絡会」との協力体制に関してであった。この三発題を二つの分科会で討議し、その報告をもとに二回にわたる全体協議で議論を深めた。
その他、活動計画や「共同の祈り2006」についても確定され、決算・予算の承認、共同代表や事務局長選出なども滞りなく行われた。
全国集会はカトリック幟町教会にお世話になった。世界平和記念大聖堂で在日二世シンガーの李陽雨さんの歌と語り、外国籍住民四人の証言を通して、いろんな国の人や文化が共存できることを確かめ合った。外キ協共同代表の一人であり、カトリック正義と平和協議会担当の松浦悟郎司教の説教からは、自分の考え方に「寛容さ」を持つことが人間としてとても重要であることを学んだ。他の考え方、他の生き方、自分と違うものを認めあっていくことが地球市民として、いかに大切かを思わされた。
外キ協活動に関わっていると、自分を周りの人と比較する必要がまったくないことを教えられる。これはイエス・キリストから教えられていることでもある。
(秋葉正二報・外キ協事務局長、日本基督教団砧教会牧師)

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