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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4607号】新任教師オリエンテーション

2006年7月22日

教師である重さを実感する

参加者の関心は説教に集中

二〇〇六年度新任教師オリエンテーションが、六月二六日から二八日まで静岡県伊豆市にある天城山荘を会場に開催された。主題は今年度も「教団の教師として宣教を共に担う」。参加した新任教師は七一名(昨年度未参加者九名を含む)、教育委員会から委託を受けているキリスト教教育主事の参加は三名、関係者を含めると計九七名が参加した。無我夢中で駆け抜けた新任教師が自らの三ヶ月の歩みを振り返り、教師であることの重さを実感する三日間となった。

新任教師オリエンテーションの大まかな日程は次のようなものである。第一日目、「合同教会としての教団」山北宣久教団総会議長。第二日目、「教団の教師像」小林眞副議長。「教団の働き」竹前昇総幹事。「教団の取り組み~差別と人権」東岡山冶部落解放センター運営委員長。「牧会の課題」佐藤誠氏(特別講師・愛誠メンタルクリニック所長、南三鷹教会員)。最終日、「牧会講話」小島誠志氏(松山番町教会牧師として)。
このような発題と講演で構成されているのは、教団全体を参加者に理解してもらいたいとの願いとそれぞれの任地で早速大きな課題となる説教と牧会に対して希望を見失わないで取り組んでほしいという配慮を形にしたものである。

・教師としての自覚の時

山北議長は、発題「合同教会としての教団」を通して合同教会の本質は、「まことにして一なる教会」にあるとし、「イエスは主なり」という点に一致点があって、そこから生まれる多様性という流れが合同教会の本来の姿であることを指し示す一方、福音理解の混乱により、教団をとらえる「本質」「職制」「体質」「伝道論」の四点において相対化による崩壊が起こっているのではないかと問題提起しながら教団の歴史を振り返った。
小林副議長の「教団の教師像」の発題では、教団における教師問題について、自ら一九七〇年に教師として立てられ、教師試験が開催されない中で「信徒伝道者」として出発した歩みを紹介しながら教師問題の歴史を振り返り、教憲教規から見た教団の教師像を第一部として紹介した。
第二部では、「私の教師像」として「聖書が深く読めること」、「教会形成に結びつく人間関係を作ること」、「教会に仕える業に雑用はない」という三点を語って参加者の大きな共感を得た。
竹前総幹事は「教団教師の一つの働き」と題して発題し、人間関係の基本的な信頼を失わないために事務最終責任者としての教師という側面を疎かにしないでほしいと訴えた。
東岡氏は部落解放センター運営委員長として部落差別への取り組みを信仰に押し出された取り組みとして熱く語った。参加者の中には、発題に触発されて、もっと先生個人の具体的な取り組みを知りたいとの要望も分団の中で出た。
また、特別講師として「牧会の課題」と題して講演してくださった佐藤氏からは、カウンセリングとコンサルテーションの違いを区別して、カウンセリングは相談者の潜在的力を引き出すことであることを教えられ、牧会に立つ上で多くの示唆を与えられた。
特に、相手の話を正確に聴くことと相手の言わんとすることを聴き取ることの大切さと難しさを実感させられた。
講演の中で実際に行われた参加者への心理テストを通して、教師委員を含めて、自分が相手の言わんとすることを自分の先入観で歪めて聞いている実態を知らされ、改めて自分自身の現実の姿に向かい合うこととなった。

・礼拝と交わりの時

オリエンテーションは礼拝に始まり、礼拝に終わる。開会礼拝と閉会礼拝は教師委員が奉仕し、朝の礼拝は新任教師が奉仕した。共に説教と牧会に苦悩する者として、また、同労者として御言葉に聞き合う礼拝がオリエンテーション全体を支えた。
朝礼拝で説教を担当した新堀真之教師(岡山教会)、深谷与那人教師(京都復興教会)が、キリストが心の内に輝いて福音を宣べ伝える喜びを初々しく語るなど、労苦の中にも喜びがあることを確認しながら三日間を過ごした。
しかし、食事の席で参加者に説教準備の話題を振り向けると、互いに自らの体験を話し始めて止まることを知らないなどという場面もあり、参加者の関心が説教に集中していることが感じられた。その点、最終日の小島氏の牧会講話の中での自らの説教準備失敗談は参加者への慰めと励ましを生み出して、明日からの教師として立つ者への応援歌となった。
また、今年度のプログラムの特色の一つとして、全体の交わりの時には、参加者の中から主任担任教師、担任教師、キリスト教教育主事として遣わされた者の代表として三人にそれぞれ三ヶ月間の「牧会報告」をしてもらった。更に、参加者全員の自己紹介の中でこれまでの三ヶ月の歩みに困惑しているか、喜びに満たされているかを尋ねたところ、参加者の大半が自分に与えられた務めに全力で取り組んでいることへの充実感があることが語られた。
しかし、今回のオリエンテーションにはCコースで教師として立てられた十一名の者が加わっている。その中の四名が、任地が与えられていない苦悩の中にあることを祈りに覚えてほしいとの訴えを深く聞いた。
二日目の分団は、事前に委員会で七つのグループに参加者を割り振り、それぞれのグループに講演発題者が助言者として参加するという形を取った。このことで、テーマ別の分団という従来の形式とは違って、各分団が全体的に講演と発題を深めることができた。
時間がなくなる程、これからの歩みの希望が述べられた。
また、この分団の時間を用いてキリスト教教育主事のオリエンテーションが別分団の形で実施された。
今年度の参加者は中日の自由時間に温泉に入りたいとの希望者が四〇名近くあり、多かった。おそらく初任地でのストレスから心身共に解放されてそれぞれ帰途に着いたことと思う。
(宮本義弘報)

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