「全国教会青年同盟・教会青年・夏の修養会」には今年、九名の青年が参加した。講師、スタッフと合わせ十七名で、八月二三日から二泊三日を軽井沢に過ごした。
「キリストと教会に仕える」との主題により、東京神学大学から近藤勝彦教授を講師として迎えた。「二度の講演と、最後の閉会礼拝によって皆さんに『訴える機会』を持てることはまことに幸い」と、実に率直に、「キリストに仕える」こと、「教会に仕える」ことを語った。この主題は、全国教会青年同盟が結成されてから一貫する主題である。
講師は、自身が青年の頃に参加した修養会の経験から、キリスト教信仰における決意について語り、新大陸アメリカに渡ったピューリタンたちの信仰の決意、熊本・花岡山に集った青年たちの信仰の決意表明を紹介した。そして、今回の開催地、軽井沢も多くの「キリスト教的人生の意思決定が行なわれてきた地」として、今回の修養会参加者が、神の意志を尋ねて、「それぞれのキリスト的人生を新しく歩み出す機会とされたい」とした。
現代、社会に噴出している問題を「人間問題」と捉え、根源に人間の罪があり、その人間がどれほど神から愛された存在であるかを忘れてしまっている。社会を救う「よいサマリア人」を世界が必要としているが、人間は、自身がよいサマリア人になろうとして傷つき倒れている、とした。
「キリストに仕える」とは、まず私たちを知っておられ、私たちのためによいサマリア人となられたキリストを知ることからはじまる。私たちの挫折によっても妨げられることのない深いものがある、と伝えた。
「教会に仕える」三つの局面として、神に仕え奉仕する「礼拝」、主にある兄弟姉妹に仕える「信徒の交わり」、「愛の奉仕」、そして世界に仕え奉仕する「伝道」があることを語った。そして、第一の召命としてキリスト者とされる洗礼、第二の召命としてキリスト者の生き方の具体化、生活、職業、結婚、家庭を語り、神から召され、契約を結んだ民のあり方を語った。
講師による主題講演のほかに二名の青年が発題し、教会生活で出会った困難と克服の喜びを語った。
三回にわたる分団には多くの時間を用い、少人数に分かれて、講演から発展して十分な語り合いのときが持たれた。青年の素直な言葉が語られるとてもよいときであった、と思う。
朝には、早天礼拝ののち「モーニングデート」があり、くじ引きでペアになった者同士が朝の散策をする。青年同士、青年と教職、中には教職同士などというペアもあり、なかなかおもしろい。この時間も親しく話すことのできるプログラムとなっている。
晩には、二日目にキャンドルサービスとして御言葉、交祷と賛美による礼拝が持たれた。当日指名された青年たちが、修養会を通して受け取り思い巡らしたことを証しとして述べた。
閉会礼拝は聖別会と呼ばれ、御言葉に聞いたのち、修養会を通して得た恵みと、これからの決意を参加者一人ひとりが語り、聖別帳に記名した。祝福を受け、献身の思いを新たに、それぞれの地に遣わされた。
全国教会青年同盟は、一九七〇年九月十三日、三崎町教会に百名近い教会青年たちが集まり結成式を行い歩みを始めた。この同盟の発足は、これに先立って同年七月に開催された福音宣教会主催の「全国青年セミナー」に出席した青年たちの青年部結成の申し合わせが発端となっている。
前々年六八年、第15回教団総会では機構改正により青年伝道専門委員会がなくなり、また、前年六九年には全国教会青年宣教会議が準備段階で急遽中止となっている。特に、第14回、第15回教団総会以降、顕著になってゆく教団の混乱の中にあっても、なお青年伝道への熱意を持ち続けた青年たちが原動力となって同盟結成へと導いた。
以来、「聖書信仰の上にたち、多難の時代のただ中で教会青年としての責任を深く自覚し、生涯を通じて教会に仕え、福音宣教の使命のために連帯して活動を推進する」という同盟結成の目的に適って、青年と共に、チャプレン、リーダー、スタッフとしての牧師、伝道師、教務教師、信徒たちが協力し、セミナー、春、夏の修養会、高校生献身キャンプを開催してきた。
現在、セミナーは行われなくなっているが、一八歳以上の教会青年を対象とする春、夏の修養会が続けられている。また夏の献身キャンプは、中学生にまで参加を広げて中高生献身キャンプとして行なわれている。修養会、キャンプとも、求道者も参加者として受け入れられている。
一九九九年には、同盟において育てられて伝道者として召命を覚え、献身した牧師たちが中心となって西日本教会青年同盟があらたに組織されて活動がはじまっている。
同盟も修養会参加者減少は免れていない。が、修養会を続けてゆくことに結成当時と変わらない青年伝道の意義を見出している。
(渡邊義彦報)