【4616号】JOCS 日本キリスト教海外医療協力会

命と向き合う~ キリスト教医療ミッションの現場から

JOCSの歴史は、日中戦争の惨禍の只中、一人の牧師の情熱に打たれたキリスト者医学生が中心となって中国難民救済施療団が赴いた(一九三八年)ことに遡ります。それは、学生YMCA・学生キリスト教運動のうねりと呼応し全国各地の若者たちを巻き込んでいきました。
第二次大戦後、日本キリスト者医科連盟が設立(一九四九年)され、その後創立(一九六〇年)されたJOCSは二〇一〇年に五〇周年を迎えます。私たちの歩みは、JOCS二五年史「アジアの呼び声に応えて(新教出版社:隅谷三喜男著)」に克明に記録されています。それは日本における海外での保健医療協力の草分けとして、時代の荒波を乗り越え草の根の人々と共に歩んだ歴史でもあります。
“Go to the people”(人々の中へ行きなさい)-これは、私たちの基本的な精神です。故岩村昇さんがあのネパールで出会った若者の言葉「サンガイ・ジュネ・コラギ」にも教えられるように、「みんなで生きる」は私たちの行動規範です。けれどグローバル化・ボーダーレス化が加速化させる「共に生きられない」世界と日常もそこにあります。平和と公正への脅威、命が危機にさらされる現実。私たちは、だからこそ最も貧しく弱く小さくされた人々の「今、この瞬間」に想像力を働かせ、「声なき声」を聴き、世界を見つめていきたいと思います。
JOCSは、四六年間に延べ六〇人の保健医療従事者を「JOCSワーカー」として派遣してきました(現在はネパール、バングラデシュ、カンボジア)。そして「自国の苦難にある人々のための命に関わりたい」という志を持つ研修生・奨学生を支援(現在八〇人)し、地域の保健医療水準の向上に協力しています(ニーズは拡大の一途)。
しかしJOCSは、様々なチャレンジを受けています。JOCSが直面する課題は大きく分けて三つです。
第一に、ワーカーの確保の困難さ。日本のクリスチャン人口〇.八%。日本の医療事情なども影響し、(各国・地域からの支援要請が多くあるものの)派遣できるキリスト者の保健医療従事者が得られないのが現状です。これは日本のキリスト教の社会的使命へのチャレンジとも言えるかもしれません。
第二に、会員の減少。かつてピーク時には八五〇〇人を超える人たちが会員あるいは社員として私たちの活動を支えて頂いていました。しかし今は五五〇〇人。それに比例して寄付や募金も少なくなってきています。JOCSは、「政府資金・企業献金は受けない」というポリシーを持っています。独立性と自由を保つためです。支援者・協力者の願いと運動を支えにしています。だからこそ、一人ひとりの意識と参画が欠かせないのです。
第三に、使用済み切手の不足。電子及び携帯メール・メール便・宅配便など「切手」の時代への逆風状態が続いています。購入希望者が多くいながら、使用済み切手が集まらず、ファンドへの影響は少なくありません。使用済み切手運動は、日常の暮らしから関わる国際ボランティア活動。その灯火を守りたいと思います。
JOCSが直面する諸課題は、私たち自身の自助努力はもちろんのこと、日本のキリスト教諸団体と一緒に、これらの状況や問題意識を共有し、連携協力を強め、課題克服のための知恵と力が求められているのではないでしょうか。日本におけるキリスト教共同体として。
JOCSの活動地域の多くは「非キリスト教国」です。バングラデシュはイスラム。ネパールはヒンズー。カンボジアは仏教。開発途上の国々では、災害・紛争・貧困・格差・環境破壊などにより弱くされた人々が窮地に追い込まれ、誰かの助けや支えを求めています。悲痛な叫びと共に。非キリスト教の地域にキリスト者を派遣する意味。もちろん様々な困難があります。常に「(キリスト者である)私たちは何者か」「何ができるのか」が問われます。限界もありますし、問題にも直面します。しかし、私たちは関わらねばなりません。主イエスが背中を押し続けるから、です。「あなたたちが行うのだ」と。
JOCSは、二〇〇六年度から「今後五年間の方針」(五〇周年を迎える二〇一〇年をゴールとして)を掲げました。第一に、平和の実現に寄与する。第二に、重点対象としての「女性と子ども・少数民族・障がい者・HIV感染者」への取り組みを強化する。第三に、それらの人々と共に生きるワーカーの発掘・養成・派遣です。
これは、新しいことではありません。原点に立ち返り、現代的な使命の実践に専心し、新しい五〇年を創るための契機です。
今、世界は悲鳴を挙げ、SOSを発しています。私たちは「微力」かもしれないですが、決して「無力」ではありません。一人が二人になり、二人が三人になる。力は小さくささやかでも、「私」と「私」がつながって世界を変えていくこことができると信じます。「忘れない」「あきらめない」そして「私から始める」。そのことを心に刻み、痛みを共有するJOCSでありたいと思います。善きサマリア人のように。
クリスマスは、分かち合いの時。「共に生きる」を確認する時。世界では年間約一一〇〇万人の子ども達が五歳の誕生日を迎えられずに亡くなっています。三秒に一人。私たちの無関心は子ども達の未来を奪っています。イエス・キリストを羅針盤とする日本のキリスト教共同体がつながり、「命と向き合う」働きを続けていかねばなりません。それぞれが日本各地に根ざし、かつ世界を見つめ行動する-“Think  Globally,Act  Locally”において一致し、主イエスに示された平和と公正な「持続可能な」世界の実現へ歩んでいきたいと祈っています。
(JOCS総主事・大江 浩報)

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