安倍新政権のもと、教育基本法が「改正」され12月22日に公布・施行されました。1947年施行版の全文改定です。これまでの教育基本法は、戦争で多くの命を奪い諸外国に多大な損害を与えた国家の責任を反省し、日本国憲法の精神に則って「個性の尊重」「平和主義」「民主主義」の原理に基づくものでした。主権者たる国民の持つ「教育を受ける権利」に国家が仕える法であって、主権者の権利が妨げられないよう国家が縛りを受けていました。誰にも侵されることのない一人の自由な意志と尊厳を持った人間が、国家の主権者の一人として国家に参画していく姿、これに仕える国家の姿が描き出されています。戦前の「教育勅語」による《君主が国民に与える教育》からの大転換でした。
しかし、国家はこの理念を大切にし、浸透させ、国民を育んできたでしょうか。この度の改定は愛国心やその他、国家に都合のよい「徳目」を教えるというのです。国家の施す教育への後戻りです。国旗国歌法以前から公立学校で君が代日の丸の文科省による強引な押しつけがなされています。法はその後付でした。今では私立のキリスト教主義学校にまで教育委員会より強い要請があると聞きます。靖国神社に繰り返し参拝した小泉前首相。安倍首相は年頭、明治神宮に「内閣総理大臣 安倍普三」と記帳して参拝しました。信教の自由・思想信条の自由、政教分離の原則が徹底されなければ真の民主国家はできません。しかし、民主国家の基本理念はプロテスタント教会が多くの戦いを経て勝ち取ったキリスト教的文化価値であることを忘れてはなりません。日本は切支丹禁令が解かれてまだ150年です。自由の理念がそう簡単に根付くとは思えません。今改めて、キリスト教主義の学校や諸施設とも手を携えて、神の御前に一人一人の自由な意志と尊厳が大切にされる社会作りを、み言葉と実践による福音の種蒔きをしてゆこうではありませんか。
日本基督教団第34総会期 社会委員会 靖国・天皇制問題小委員会