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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4620号】日本基督教団年金の過去・現在・将来

2007年2月17日

髙橋 豊

・はじめに

1.一九六四年度に発足した教団年金制度については、四〇年余りの過去があり、その結果として現在がある。
そして将来については、在職四〇年の教師が隠退され終身遺族年金を含めて考えるとき六〇年余り先までを年金数理を用いて考えねばならない。

・過去

2.制度発足前に隠退された教師のために、教団は現行の教師退職年金制度とは別に、謝恩金制度を維持してきた。この二つの制度を維持するために、信徒運動として「隠退教師を支える運動」が一九七八年の第20回教団総会で承認され現在年額7千万円がささげられるまでに成長してきている。そして謝恩金制度がその使命を全うする見通しも得られていることは感謝である。

3.教師退職年金制度は、掛金制を導入しつつも給付の格差を小さくし連帯互助の制度設計がなされている。
一九六四年度発足後、過去勤務債務(積立不足)が発生し次第にその額は増加していったが、無拠出制の謝恩金制度をも維持しなければならない教団では、積立不足を解消するための資金投入がなされてこなかった。

4.一九七六年第19回教団総会において設置が承認され翌年四月から業務を開始した年金局は、一九八八年以降過去勤務債務問題を提起し、一九八九年四月から掛金を6.0%から7.2%に引き上げた。
積立金不足については理解されにくく苦心が続くが、一九九六年第30回教団総会に至り積立金不足24億円解消のために、収入増加(教団からの繰入増、年金協力金、加入者増、謝恩日献金の全教会参加)と支出削減(「弔慰金」「クリスマス祝金」「配偶者加算」の三項目廃止、業務経費の節減)により年1億1千万円の新たな財源を捻出する議案が可決された。

5.二〇〇〇年第32回教団総会において、「教団年金制度検証委員会」の報告がなされ、前述の「一九九六年可決議案の評価と課題」および「検証にもとづく勧告」が示された。
この中で、年9千万円の財源捻出達成が確認されたが、一九九〇年代半ば以降の超低金利により事態は厳しい状況にあり、さらに財政検証を深め対策を講じることになった。
年金局の内部で年金数理のモデル計算に取り組んだ後、二〇〇三年と二〇〇六年の二回、三菱信託銀行(現・三菱UFJ信託銀行)の協力を得て財政検証を行った。
対策としては、まず二〇〇三年四月から、掛金を7.2%から8.0%に引き上げるとともに、給付の比例部分の10%削減を実施した(財源捻出年6千万円)。
続いて二〇〇四年第34回教団総会に年1億5千万円の財源捻出を「謝恩日献金」増によって実現し危機打開を図る議案を提出したが否決された。
そこで、年金局理事会は、更なる給付削減案(満額支給年齢を六五歳から七〇歳に引き上げる減額年金案および比例部分の再度10%削減案)を決め、二〇〇六年二月の常議員会の承認を経て二〇〇七年四月より実施することになった(財源捻出7千万円)。
以上のごとくこの一〇年間で実施した対策による財源捻出の合計額は年2億2千万円に達する。

・現在

6.前述の二〇〇七年四月より実施される対策を織り込んだ財政検証を二〇〇六年春三菱UFJ信託銀行と協力し実施した。その結果を簡潔に述べれば次の二点である。①今後三〇年間責任準備金は111(現在)~115億円で推移し、積立金を控除した現在の過去勤務債務(積立不足)は74億円であること。②そして現行掛金8.0%の中に含まれる過去勤務債務償却に充当できる部分(いわゆる第二掛金部分)と献金の現水準が維持されることを前提とした場合、実質積立不足の金額は40億円弱であること。
年金局理事会は、この財政検証結果にもとづく対策として、二〇〇七年度財務計画の中に「謝恩日献金」の8千万円増を計上し、常議員会を経て二〇〇六年一〇月の第35回教団総会においてこの計画案が承認された。これをどのように実現してゆくかがこれからの課題である。

7.現在教団年金に加入しておられる教師は二〇五九名で、六五歳以上の現役教師はその約四分の一。給付を受けず掛金をかけてくださっているこれらの教師と教会による財政的貢献は年3億5千万円を超える。また「隠退教師を支える運動」「謝恩日献金」等献金の総額は年1億円を超える。連帯互助の性格の強い現行年金制度は、これらの尊い貢献によって支えられており、この世の年金制度に比し強みとなっている。

8.在職四〇年の教師に支給される月額平均額6万9千円(最高額7万4千円)の教団年金をどう位置付けるか。私は隠退され牧師館を出られた教師の住宅費と考える。教師謝儀全国平均年額370万円(二〇〇七教団年鑑による)が意味するところは、在職中老後の住宅を用意する余裕もそして隠退後その謝儀に基づく公的年金の中から住宅費を捻出することも考え難いことである。公的年金(国民年金、厚生年金、私学共済年金)を生活費に当て、教団年金で住宅費を支える。教団年金を、「公的年金とあいまって、隠退された教師とその家族の生活を守る年金」と位置づけたい。

・将来

9.教団年金の将来を展望する時、前述したように責任準備金はほぼ横這いで推移し、給付債務が累増して年金財政が危機に瀕することは基本的にないと予測される。超低金利の中でも、一度も積立金を取り崩すことなく積み増しを続けて、現在37億円の積立金を堅持している。
とはいえ、今後留意すべき点を述べれば、二〇〇一年度の新規加入者平均年齢が三一・九四歳であったのが二〇〇五年度には三六・五八歳に上がっていることである。また加入者の年齢構成とくに六五歳以上の教師の比率の変動にも注目しなければならない。
積立金の運用については、安全性と運用実績向上の両立を目指すことになる。年8千万円の謝恩日献金増を全教会・伝道所のご理解を得ながら進めなければならない。長期的な利率の動きも大きな影響を与える。
こうした要素を見極めながら、少なくとも三年に一回は財政検証を行い、対応策を講じつつ教団年金制度を守り抜きたい。

・結び

「宣教的視点から、全国すべての教会において献身されている教師と、これを支える家族の生活を守ること。
隠退後の生活を支える年金給付においてその格差を極力縮小すること、そのために全教会が連帯し、教職・信徒が一体となって制度を支えること。
教団はこの制度を支え抜くことを最重要課題として取り組むこと」。
以上は前述の二〇〇〇年教団総会で報告された検証委員会の書記として奉仕させていただいた私が「教団年金制度の検証にもとづく勧告」の結びの言葉として執筆させていただいたものであるが、今もこの思いは変わらない。
(教団年金局理事長)

 

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