JOCS 日本キリスト教海外医療協力会
今、行動の時〜かけがえのない一人ひとりのために
JOCSはワーカー派遣以外に「研修・奨学金」支援を行っています。対象者となる保健医療従事者は、インド・インドネシア・カンボジア・パキスタン・バングラデシュ・ネパール・ウガンダなど、八〇名に及びます(二〇〇六年度)。彼らは地域の未来を創り出していく存在です。
彼らは必ずしもクリスチャンではありません。しかし、宗教を超え、異なりを超えても、「命と向き合う」最前線にいる人々は私たちのパートナーです。「『人』を通じて『人』に仕える」。イエス・キリストの生き様に従いつつ、私たちを求めている人々への責任を果たしていかねばなりません。私たちは、彼らの草の根の人々と共に生きる働きに敬意を抱き、彼らに学び、彼らと共に歩みたいと思います。
JOCS「今後五年間の方針(二〇〇六-二〇一〇年)」は、「平和を実現するものとしてのJOCSは、最も貧しくされ、虐げられ、差別され、存在さえ忘れ去られている人のところにとどまりたい。」と謳っています。
「ドクター、許すのは人間ではない。神様です。立ち上がって下さい。そして、私の言うことをどうか一人でも多くの日本人の、特にクリスチャンに伝えてほしい。『汝の敵を愛せよ』とおっしゃった、そして自分を殺すローマ兵を『彼らは何をしているか知らないのです。許してやって下さい』と言って、自分の父なる神に祈って十字架上に死んでいったそのキリストに救われ、キリストに従う人生を選んだ日本の、そしてフィリピンのクリスチャンが始めなければ、平和作りは始まりますまい。」(岩村昇著「共に生きるために」新教出版社)
私たちは、声高に「平和」を掲げて運動を行っている団体ではないかもしれません。現在ワーカーを派遣しているバングラデシュでも、ネパールでも、紛争は「かつての」ことではなく、「今」のこと。命の危機と隣り合わせにある人々に、「世界の現実」を見ます。ワーカーは、そして奨学生はそれらの人々のSOSを受け止め、多くの課題に直面しながら、日々与えられた使命を実践しています。それは「平和に連なる」働きに他なりません。
「世界は『貧困を過去のものにする』これまでにない好機を迎えている。三〇億人近い人々が七四一日二ドル以下の生活を余儀なくされ、一分に一人の女性が出産時にいたずらに命を落とし、一日に六〇〇〇人の青少年がHIVに感染し、何百万人もの女性と女児が暴力に怯えて暮らしている現状…世界は、人間としての権利を奪われた人々が、彼らを抑圧しすべての権利を奪っている環境に打ち克つことを可能にする先例のない好機を手にしている…今や、行動あるのみだ。」(世界人口白書二〇〇五)
平和への脅威となる「貧困」。それを過去のものにできるか(Make Poverty History)、それは私たち一人ひとりの責任です。「今後五ヵ年の方針」が掲げる「女性と子ども、障がい者、少数民族、HIV感染者」の命を支える、そのことを基本として、キリスト教医療ミッションを果たしていきたいと思います。
(大江 浩報・JOCS総主事)