宣べ伝えるのに必要な学びを
二〇〇七年春季教師検定試験は、二月二七日~三月一日、東京の中野サンプラザを会場にして行われた。今回は、昨年の秋季教師検定試験と同様に、春季教師検定試験としては初めて一会場での実施となった。初めて使う会場であったが、特に混乱もなく実施することが出来た。一日目に学科試験、二日目、三日目に個人面接を行った。原則として二日目の個人面接は遠方からの受験者、三日目は東京近郊の受験者とし、受験者の負担の軽減を図った。委員会としては、当分の間、春季は東京において、秋季は大阪(関西)においてという形で、一会場での試験を実施していきたいと考えており、次の委員会に申し送ることとした。
今回、委員の一人が手術を受けて検定試験に臨むことが出来ず、六名の委員で実施した。春季の試験は秋季に比べて受験者・受験科目が少なく、また一会場での試験であったために委員が分散することがなかったので対応することが出来た。しかし、危機管理の面での課題を残した。
今回の受験者総数は七四名、内訳は補教師六七名(Aコース三六名、Bコース十七名、Cコース十四名)、正教師七名であった。
試験直後に行われた委員会での学科試験の判定によると、補教師試験では受験した六七名の内、合格者は四〇名、保留者は十四名、不合格者が一名であった。Cコース受験者十四名の内十二名が継続となった。正教師試験では受験者七名の内、二名が合格、三名が保留、二名が不合格となった。保留者については改めてレポートが課され、後日、再判定することになっている。
今回、補教師試験の不合格者は少ないが、保留者はなお多く見られる。特に教憲教規・宗教法人法に関しては、多くの者が合格点ぎりぎりの点数であった。今回は教会実務を問う問題であったが、問題の意図を正しく受け止めていない解答が多かった。又、新約神学・旧約神学については、神学的な叙述になっていないものも少なくなかった。聖句の引用だけでは聖書神学の叙述とはならない。正教師試験の再試験の結果は、受験科目数が少ないにも関わらず大変残念なものであった。
教師検定試験は、いつも基本的な理解を問う出題であり、学びの姿勢をも問うものである。教師として宣教の場に遣わされ、み言葉を宣べ伝えていく上で、聖書の基本的な知識や理解と神学的思考が欠かせない。ただ試験のための準備ではなく、今後も学びを継続していって欲しい。
二日目・三日目の個人面接に先立ち、全体会を行った。まず菅原力委員長が挨拶した。その中で、今期の教師検定委員会の方針、ならびに教憲第9条に触れ、神様の召しに応えての試験であること、伝道者としての学びの姿勢を形づくっていくこと等が丁寧に話された。
試験後の委員会では、いくつかの課題が指摘され、話し合われた。その最も大きな課題は、神学校・神学部の実態が教師検定規則において前提とされていることと大きく違ってきている点である。これは特にAコースにおいて顕著である。この点に関しては早急に対処し、改善していく必要がある。
今回の受験者の中に、病気のため直前にワープロでの受験を求める者がおり、急遽別室を準備したが、本人の体調が良く他の受験生と一緒に受験した。様々なケースがあるが、今後も出来るだけの対応をしていきたい。
今回は、第34総会期の教師検定委員会による最後の試験であり、二〇〇七年秋季試験からは、第35総会期の新委員会によって実施される。秋季の検定試験の会場、説教・釈義の聖書箇所、組織神学・神学論文の課題等は、三月十九日~二〇日の新委員による委員会において決められる。
今回、新たに日本基督教団の教師となる召命を受けた教師検定受験者が、七四名与えられたことに感謝する。受験された一人一人が今後も主の召しに応え、良い働きをされるよう、委員会として祈るものである。
(小堀康彦報)
*2007 年春季・補教師検定試験問題
教憲教規および諸規則・宗教法人法(60分)
(A・B・CⅢコース)
次の2題に答えてください。
1. 教会の財産管理をめぐって重要だと思われる点を、「教憲教規および諸規則」の中から該当箇所を挙げて述べてください。
2. 「宗教法人法」上、公告を行うことが義務づけられている事例の中から、二つを挙げて述べてください。
旧約聖書神学(60分) (B・CⅢコース)
次の2題に答えてください。
1. 旧約聖書における律法の意味と意義について述べてください。
2. エレミヤ書の内容と思想について述べてください。
新約聖書神学(60分) (B・CⅢコース)
次の3題のうちから2題を選んで答えてください。
1. 共観福音書におけるイエスの「受難と死」について述べてください。
2. ヨハネによる福音書における「キリスト論」について述べてください。
3. パウロにおける「信仰による義」について述べてください。
*講 評
第34総会期二〇〇七年春季教師検定試験が東京・中野サンプラザを会場に実施されました。今回は七四名の受験者が与えられました。昨年の大阪会場に続き、一会場での試験を東京でも実施することができました。全体として、順調に試験を実施することができ、今後も検討を重ねつつ一会場試験を継続していきたいと考えています。
ここ数年の受験者の傾向を見ると、神学的な(聖書神学的、組織神学的な)思考力が弱かったり欠けていたりする点が目につきます。教師としてたてられることは、御言葉に仕えていくことに他なりません。語りかけられる御言葉に聞き続け、宣べ伝えていくために必要な学びの姿勢を謙遜に形づくってほしいと願っています。
また今後、検定制度そのものを、検討していかなければならない時期に来ているのではないか、ということを委員会としても受けとめています。
(菅原 力 第34総会期委員長)