【4625・26号】講演要旨

日本における宣教
-伝道協力とその展望-
聖学院大学学長 阿久戸光晴

パウロがローマへ赴く途中、エウラキロンという暴風雨に遭遇する。パウロの行動と励ましによって、乗り合わせた全員は無事上陸(使徒言行録27章)するが、これは、暗示的なエピソードである。今日世界は同じ船に乗り合わせていると、よく言われるが、大事なことは海図と羅針盤と舵取りだ。
第2回伝道旅行でパウロは、アテネに失望し、コリントで思わぬ成果を上げる。しかし、そのコリントでガラテヤ教会的反動が起きる。古い律法への回帰こそ、今日のナショナリズム回帰への底流である。パウロの直面したコリント教会的自由の暴走とガラテヤ教会的回帰という二つの課題は、そのまま今日の教会的課題となる。
パウロの語った自由は、ピューリタンの信教の自由、人権理念とその保障制度となって広く歓迎されているが、パウロの伝えた自由は、他者に仕えるという愛の責任と結び付いている。自由の外形だけ学んで、十字架の愛を学ばねば、コリント的退廃か、ガラテヤ的反動がやってくる。
プロテスタント教会の日本宣教は一四〇年以上たつが、今日信徒数は実質〇・四%以下といわれる。なぜ日本伝道は戦後も困難を極めているのか。家族主義の壁、墓を
同じくしたいという思いが大きな阻害要因になっている。だが、天皇制や家族制度の残る限り希望はまったく無いのだろうか。
今、日本の家族は危機に直面しており、ここに福音を聞きに集まってくる契機がある。日本人の教育に対する類い稀な尊敬と熱意は、福音受容という花を開かせる可能性を持ち、キリスト教主義学校の存在意義もそこにある。日本のキリスト者数が統計上増えない理由は、受洗後遠のきがちな信徒を、一定年限で整理して行く制度上の問題もあるだろう。
諸教会に対話がなくなれば、福音は独善的になり、ナショナリズムと結合しやすくなる。宣教協力、国家を超えた真の教会的フェローシップが必要で、北米や東アジアの宣教師の真の証しと同時に、日本人伝道者も海外に出て行くことが望まれる。今日の伝道の使命は、何を何のために伝えるのかという宣教の質的側面と宣教における海図と羅針盤の問題だ。
古い血縁的秩序が世界で壊れつつあり、親子関係型社会から夫婦関係型社会へと展開している。ここには聖書の契約思想が背後で働いているが、信仰を抜きにした社会は壊れやすい社会である。伝統的家父長制社会は崩壊して「無く」、新しい形態の社会で生きるエートスも「無い」。ここしばらくは、二つの「無い」状態から、ナショナリズムへの回帰と経済グローバリゼーションの動きが跋扈するだろう。大切なことは、信仰を共有する者の国籍を超えた連帯といえよう。
(永井清陽報)

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