▼数十年前、郷里の秋田では漬け物・みそ汁が成人病の根本原因のように叩かれた。撲滅運動だったと言えば少し大袈裟か。その後、「塩分控えめ」の漬け物が現れ、今日では名産品になっている。みそ汁は健康食品だ。▼「糖分控えめ」、これは何とか我慢する。砂糖の入らないコーヒー・紅茶の方が、真の味が分かるかも知れない。「カロリー控えめ」…「タンパク質が足りないよ」というテレビコマーシャルを記憶している世代には、ちょっと複雑な心境だが、仕方がない。▼究極のダイエットには「おいしさ控えめ」だそうだ。確かに、おいしいことこそが、諸悪の根源かも知れない。美食・飽食の時代は、同時に「おいしさ控えめ」の時代、何ともややこしい。▼ジェームズ・ヒルトンが伝説の「シャングリア」を描いた『失われた地平線』に登場する宗教は、徹底して中庸を重んじる。その徹底振りは、「この教えをあまり信じ過ぎてはならない」と言う程…成る程。▼黙示録三章十六節…どなたも御存知につき引用省略。それにつけてもこの夏は暑い。