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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4637号】秋季教師検定試験

2007年10月20日

正教師合格者は20/69、厳しい結果

召命に応える姿勢が問われる

二〇〇七年秋季教師検定試験が九月二五日(火)~二七日(木)、大阪会場(大阪クリスチャンセンター)において行われた。受験者総数は九二名。試験直後に行われた検定委員会での学科試験判定の結果は次の通りである。正教師試験は六九名が受験し、うち合格者が二〇名、保留者が三三名、不合格者が十六名であった。補教師試験は二三名が受験し、うち合格者が九名、保留者が三名、不合格者が〇名であり、Cコース受験者の十一名が継続となった。保留者というのは、学科試験の結果が合格点にわずかに及ばなかった受験者で、レポートが課せられ後日そのレポートによる再判定を受ける者のことである。
秋季の教師検定試験は、正教師試験の受験者が多いのであるが、前述のように、結果は厳しいものとなった。正教師試験を受験する者は、既にそれぞれの遣わされた場において、日々宣教の業に励む中で試験に臨むことになる。教会・伝道所の主任担任教師、或いは担任教師としての働きをこなしながら、受験に取り組むことは困難な面がある。しかし、検定委員会は、毎回提出物の課題・学科試験の問題のいずれにおいても、基本的なものを求めてきた。つまり、教師として宣教に当たる時、どうしても弁えておかなければならない事柄を、試験という形で問うてきたということである。今回のこの厳しい結果を真摯に受け止めて、春季の試験を再受験する者は時間を工夫して準備して頂くことを切に願っている。
今回の試験においても目立ったことは、提出課題である新・旧聖書釈義の中に安易なものが少なくなかった、ということである。釈義の基本が弁えられておらず、その体をなしていないもの、注解書をそのまま写しているものなどがあった。聖書釈義から説教へという、教師にとって基本的且つ日常的な営みが軽んじられているのではないか、と懸念される。もしそうであれば、教会の営みの中心である礼拝にとって、由々しきものがある、と言わなければならないであろう。また、「黙想」についても、もう一歩深められたら良かった、と残念なものが多数あった。
それから、聖書についての知識は勿論のこと、組織神学的な思索・考察と教会史・教理史の知識も教師として宣教の業に仕えるためには不可欠なものである、と言える。その学びと訓練に基礎付けられて、実際の説教と牧会が行われていくし、主の教会が形成されていくことになるからである。今回も、提出課題である神学論文に、単なる現場レポートに終わっているものが多くあった。前述の聖書釈義に加え神学論文に、再提出を求められたものが多かったが、今後は改善されることを願っている。
教会の主任担任教師になれば特に、様々な実務をこなすことが求められるが、その場合、どうしても宗教法人法および教憲教規・諸規則についての知識が必要となる。牧師・伝道師の最も苦手なことが、事務処理であるとも言われるが、そのことが証明される結果となった。この方面の学びも教会に仕える大切な業であることを肝に銘じ、軽んじないで頂きたい。
学科試験後の個人面接に先立ち、面接の一日目と二日目に各々全体会が行われた。最初に各委員の紹介、次いで小堀康彦委員長が挨拶し、今回の試験全般について説明をした。その中で、現教師検定委員会の検定方針を解説し、特に教憲九条の「神に召されて正規の手続きを経て献身した者」について丁寧に説明がなされた。その後、質疑応答、意見交換がされたが、受験者からの質問は、試験会場の空調を快適にすること、緊急の連絡を速やか且つ正確に受験生に伝える工夫に関するものであった。これらについては、今後の課題となる。今回は、一会場での試験実施の三度目であったが、この方式が定着しつつあると感じられた。
教会と教団全体にとって、教師を立てるということは重要な課題である。そのために当委員会が負う責任の重さを自覚しつつ、主の召しに応えて教師として立つ人々が更に多く起こされるよう、祈るものである。
(倉橋康夫報)

*2007年秋季・正教師検定試験問題*

教憲教規および諸規則・宗教法人法(60分)
次の2題に答えてください。
1. 現行「宗教法人法」の特徴とされる三つの制度(認証制度、責任役員制度、公告制度)の中から一つを選び、説明してください。
2. 次の(  )内に正しい言葉を書き入れてください。
ア 教団総会議員の任期は(a)年とする。
イ 教団総会議員(b)以上の賛成のあるとき、その代表者が教団総会に議案を提出できる。
ウ 教区総会は議員総数の(c)以上の出席がなければ開くことができない。
エ 教区総会議員(d)以上の同意があれば、教師または信徒は教区総会に建議または請願をすることができる。
オ 教会総会の定足数は教会規則において定める。ただし、現住陪餐会員総数の(e)を下ってはならない。
カ 主任担任教師が病気その他の事由で(f)以上その職務を行うことができないとき、役員会はその旨を教区総会議長に届け出なければならない。
キ 予算は、毎会計年度開始(g)前までに編成しなければならない。
ク 決算に当たっては、財産目録、貸借対照表及び収支計算書を毎会計年度終了後(h)以内に作成し、監事の監査を受けたうえ、責任役員会において定数の(i)以上の議決及び(j)の議決を得なければならない。

旧約聖書神学(60分)
次の3題のうちから2題を選んで答えてください。
1. 旧約聖書における「義」について述べてください。
2. 旧約聖書における「生命(いのち)」について述べてください。
3. 旧約聖書における「憐れみ」について述べてください。

新約聖書神学(60分)
次の3題のうちから2題を選んで答えてください。
1. パウロの教会理解について論じてください。
2. 新約聖書の使信の多様性と統一性について論じてください。
3. マタイによる福音書の律法理解について論じてください。

教会史(60分)
次の5題のうちから2題を選んで答えてください。
1. アウグステイヌスとペラギウス派の論争について述べてください。
2. コンスタンツ公会議について述べてください。
3. 次の3人の宗教改革者から一人を選び、その改革と神学について述べてください。
①ルター
②ツヴィングリ
③カルヴァン
4. アメリカの独立と政教分離について述べてください。
5. 日本基督教団成立の経緯と戦時下の状況について述べてください。

<講 評>

第35総会期二〇〇七年秋季教師検定試験が大阪クリスチャンセンターを会場に実施されました。今回の試験には九二名の受験者が与えられました。このことをまず、神に感謝するものです。試験の結果は報告にあるとおりです。
この試験は、神様の御前にあってなされるものですから、試験を受ける者にとっても、試験をする者にとっても大変厳しいものです。神様の召命に応えていく姿勢が問われるのです。受験者一人一人が、この試験の結果を謙遜に受けとめて欲しいと思います。そして、誠実に主の召命に応えていくための日常の姿勢を整えていく為の機会にして欲しいと心から願っています。伝道者としてこの日本で福音を宣べ伝え、主の教会を建てていくということは大変なことです。この歩みを全うするためには、聖霊の導きを願って絶えず祈り、聖書の言葉に聞き、学び続けなければならないのですから。
(小堀康彦委員長)

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