東北教区においては何が正しいかを学ぶだけではなく、共に重荷を担いながら、遅々たるものであるが共に新しい歩みを始めていることをまず感謝したい。
二〇〇七年十一月二二日(木)午後六時三〇分より、東北教区センター・エマオにおいて、「教区の集い」前夜祭が開催された。
今年は、教団部落解放センターの方々のご協力を得て、解放劇「最初のしるし」を一緒に見て、その後で、一緒に感じたことや学んだことを語り合うことができた。
解放劇はたいへんわかりやすく、教科書的に基本的なことを教えてくれた。同時に、ひとつひとつの台詞が、演じる人にとっても、劇を見た人にとっても、日常生活におけるさまざまな体験と重ね合わされて受け止められていたことを知り、劇というものの与える力を感じた。
劇の内容は、結婚をめぐる部落差別や性差別を明らかにしていた。被差別部落出身の青年と自分の娘が結婚すると聞いて反対していた父親が、部落問題を一緒に学んで、やがて結婚に賛成してくれる。最後は結婚というハッピー・エンドではなく、結婚というものにとらわれないで二人らしい道は何なのかを考えて終わっている。
劇を見て一緒に語り合った中から出てきた意見や感想は、何が正しいのかを明確に教え諭してくれている解放劇の内容を肉付けしてくれた。自分が小さい頃に経験したことと劇で演じられていたことが結びついたり、劇の中の台詞を通して改めて感動したり、劇はただのフィクションでなく、見ている人たちに「一つの出来事」となって受け止められていた。
会場で意見をかわして一緒に考えたこともある。たとえば、差別ということを考えるとき、「痛み」というものを基準にすることはできないのでないか、という意見である。
出席は四八名であった。はるばる東京と関西から来てくださった解放センターの方々に感謝したい。
また、今回の解放劇上演に際して、今井数一記念基金から多大な援助をしていただいたことも感謝したい。
(佐々木栄悦報)