使用済み切手の
有効利用を訴える
アジア・アフリカに医療従事者を送り込む日本キリスト教海外医療協力会(JOCS)が設立されて四七年。ネパールで十八年間働いた故岩村昇医師を始め、これまで十一カ国に六〇名の医師、看護師、助産師、理学療法士を派遣して来た。
現在、カンボジア、バングラデシュ、ネパール、パキスタン、タンザニアの五カ国に六名(うち医師三名)を送り込み、一〇六名の保健医療従事者に奨学金を支給している。設立以来、独立性と自由を守るため「国の補助と企業の寄付は受けない」ことをモットーにしてきただけに、草の根の献金で支える運営は、決して容易ではない。
二六年間のYMCA勤務後、06年春JOCS総主事に就任した大江浩さんは、「いま三つの課題がある」という。第一は会員の減少。九〇年ころ、八五〇〇人を超えた会員が五五〇〇人弱人に落ち込んだ。三億円近かった年間予算が、07年度一億七千万円余。第二は、医療派遣者の確保が難しくなったこと。JOCSの前身ともいえる日本キリスト者医科連盟に呼びかけているが、現地の派遣要請に対して、財政的理由だけでなく、人的要因からも応え切れていない現状だ。
第三は、JOCSの代名詞ともなった使用済み切手の収集難。「集まり過ぎて中止した時期のことが尾を引いて、現在は集まらなくて困っている」。切手収入は、06年度二一八八万円で全収入の一四%を占め、重要な柱となっている。「切手は重量で売却し、業者が選別する。使用済み切手は決して使用済みでないことを知って欲しい」。
長年、社会活動に携わって来た大江さんが感ずるのは、「地球上に困っている人達が多くいることを知っていても、他人事だと思っているか、自分は何も出来ないと思い込んでいる。私たちの活動は微力だが、無力ではない。ささやかな積み重ねが、多くの命を救うことが出来る」と大江さんは訴えている。