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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4645号】涙の定期便

2008年3月1日

「明日、成人式があります」と少年は言った。少年院で迎える二〇歳を複雑な思いで受け止めているようである。おめでとう、と言いながら涙をぬぐった。「生まれつき目の涙腺に障害があってね、出てくる涙をいつも拭いているの」と彼には説明してある。
定期便のように出てくる涙を拭きながら生きてきた。
一番困るのは、今涙をぬぐうのはまずいということである。教区議長時代、議長席におり、議事の進行の中で涙をぬぐうことがある。議長が泣いている、と言われる。提案した議事が否決されたとき、こんなときに涙をぬぐってはまずいと思うのであるが、出てくる涙は抑えられないのである。しかし、逆に都合の良いときもある。葬儀の司式をしながら、しきりに涙をぬぐうこと、もちろん悲しみを持ちつつ葬儀に臨んでいるのであるが。
少年院では篤志面接委員を担っている。月に一度、少年達と面接を行い、更生の指導をしつつ少年達の気持ちを聞いてあげるのである。成人式を迎える彼とは最後の面接である。まもなく出院するからである。少年は成人式を迎えるものの読み書きができない。そのため出院しての社会生活には不安を持っている。どんな人生を歩むのか、胸に詰まるものを感じる。「もう先生と話しできないんですか」と寂しげに彼は言った。
挨拶をして部屋を出て行く彼を送りながら涙を拭いていた。あたかも定期便であるかのように。
(教団総会書記 鈴木伸治)

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