常議員会一日目午後の機構検討特設委員会報告で、佐々木美知夫委員長は十三頁に及ぶ長文の答申を行った。
答申の前文で「06年度までの四年間に、現住陪餐会員三一二六名、月定献金総額二億三〇〇〇万円の減少と、教団全体の体力が落ちている」現状を踏まえ、宣教研究所の研究機関への立ち帰りと宣教委員会の廃止、経営最高責任者としての出版局長と理事会の廃止、教団総会議員を一〇〇人減員し三〇〇人にするなど「痛みと困難を伴う」重要かつ具体的提言となっている。
[宣教研究所]
研究機関としての研究所が、宣教委員会の設置により議決機関、執行機関の役割を持つようになり、教団紛争後は宣教基本方策、社会活動基本方針の見直しや資料の収集、整理の実務的活動に終始して来た。
本来の福音把握と宣教理解の重要課題を神学的・教会的に研究する機関とし、成果を常議員会・諸委員会に報告する。研究所委員は七名とし、常議員二名、信仰職制委員長をその中に加える。宣教委員会を廃止し、その下にある伝道委員会・教育委員会・社会委員会の常設専門委員会を常設委員会化する。
[出版局]
現行では、運営責任は出版局長にあるが、経営責任は年数度しか出席しない理事長にあり、だれも経営責任を取っていないという実態になっている。これを改めるため、理事会を廃止し、出版局長を経営最高責任者とする。局長をチェックするため、五名の経営審議会を設ける。
[年金局]
外部専門家の助力を受けた恒常的な諮問委員会を設置する必要があるのではないか。各教区選出理事が制度運営に適当か、より少数の理事会が可能ではないか。教団総幹事が一理事に留まっているのは適当ではない。
このため、理事七名(現二一名)とし、評議員会を新設、評議員は、各教区代表十七名、東京教区支区代表五名の二二名とする。
[部落解放センター]
教団の業務機関の一つだが、運動体の組織として成立したために、運動体組織を優先する形で機関の仕組みが考えられており、議決機関としての運営委員会と執行機関である活動委員会の関係、働きが重なり、経費面でも募金と教団事務局からの人件費という二重制で運営されて来た。議決、執行、業務、管理において統一の取れた責任と活動を教団諸教会に提示することが求められる。
そのため、規約5条に「運営委員会は教団総会に対して責任を負う」を挿入し、委員を九名(現十八名)に減員する。
[各種センター]
宗教法人上は、教団が運営し、教団の特別会計で処理しなければならないが、現在十八あるセンターは、それぞれの運営母体で運営し、経理処理を行っている。法律上の責任者は教団責任役員だが、実際は全く関与していない。宗教法人の社会的責任が言及される状況を考えると、責任体制を明確化し、二〇一〇年にはすべてのセンターの対応を終えるべき。
[教団総会]
前総会期からの検討を受け、総会議員数の変更に限って検討した。
総会議員は教師・信徒各一五〇名(現各一八五名)とし、推薦議員(現三〇名)は廃止する。
この答申を受けて、項目毎に意見交換が行われ、「もはや後戻りは出来ない」「委員会の努力に感謝する」と積極的支持の一方で、「各機関で丁寧な審議」「年金局の理事減員、評議員会新設は教区の役割を減ずる」「教団総会議員削減の方向は賛成だが、教区格差拡大を防ぐ手立てが必要」などの意見が相次ぎ、ひとまず答申を受理することを承認した。
夕食休憩再開後、山北議長は、「①宣教研究所については、研究所と宣教委員会で討議する。②出版局・年金局については、三役が関係者と協議する。③部落解放センターについては、センターで協議し、運営委員会、教団総幹事との間で相談を積み重ねる。④教団総会議員については、各教区で協議し、常議員会を経て第36総会に諮りたい」と、答申の取り扱いについての議長提案を行い、審議の後、賛成多数で承認された。
(永井清陽報)