二月二日(土)富士見町教会を会場に東京信徒会が開かれ、聖学院大学学長阿久戸光晴氏が「デモクラシー成熟の課題」と題して講演した。参加者五四名。
この信徒会は教会を超えた信徒の自由な交わりと勉強を中心にした会で、今年、五年目を迎える。
阿久戸氏は、現代の課題は、人々が高い見識と静かな勇気をもって、気骨ある人生を営んでいくことが一番の解決であると語った。
物語「星の王子さま」は「大切なものは目に見えない」が主題である。見えないものを見る目、そこに隠されている真実を見る目は聖書によって養われる。併せて、宇宙万物・文化・精神あらゆるものに見えざる中心があると指摘した。
現代の問題は中心の喪失であると提起したハンス・ゼードルマイヤーを紹介しながら分析を展開する。
近代デモクラシー体制は、父権的国王を廃し、構成員の周縁部分を含め全体の活性化を図る体制であるが、現代日本社会において「中心の喪失」への恐れが深刻な問題である。つまり、父権的国王でない新しい中心とは何か、良い意味でも悪い意味でも失っている。
アメリカ・ピューリタンは見える国王を置かず、見えざる神を中心に社会と国家を築くために「中心の拡散」を図った。真の中心を求心力とするために、擬似中心を廃棄した。この信念が根本規範理念として一般化されデモクラシーが形成されて行った。これこそが、近現代社会の中心を担い得るものである。
何時のことか分からないが、世界共同体は、教会共同体を仰ぎ、血縁共同体から約束共同体へ、神という唯一の縦関係の中において、横が出来ていくという関係が築かれていくであろう。そこにイエス・キリストが足を洗うサーバント・リーダーシップがある。
イエス・キリストの贖罪信仰、復活信仰に希望と愛の心を共有することこそが、闇に輝く灯台の姿、世の希望となる教会共同体であろう。その中に私達はいるのであると力強く結んだ。
(鈴木功男報)