【4647号】牧師のパートナー

神様は面白い方

加藤 敦子 (保原教会員)

私達は六〇歳まで社会の中でごく普通の生活をしておりました。夫は高校の教師でした。三〇代の頃、「聖歳月」というイエス様の伝記小説を書き、自費出版しています。それを書くため聖書をくり返し熟読し、当時の最新の情報を勉強して執筆に熱中し、私達の会話に聖書の話題がよく出ていたのを思い出します、今は聖書の研究もさらに進んで、当時わからなかった多くの新しい事実が発見されているとの事、二千年も研究され続けているのに今でもまだ新発見が…と驚きます。
夫は定年を迎え、突然神学校へ行って学び、牧師になりたいと言い出しました。私はいたってのん気ですから「あなたの人生だ。好きにしたらいい」と、私自身と関わりがあることに思い至らず送り出し、夫のいない四年間を楽しんだのでした。後に近隣の教会の牧師夫人が、夫不在の四年間をさぞ辛かったでしょうと同情された時、「とっても良い時間でした」と言ってびっくりされました。若い牧師夫人には分からない心境です。共働きの忙しい毎日、家事の重荷、ストレスで参ってしまいそうな時、愛はひととき引っ込んで夫婦間はギクシャクします。そして別居、距離を置いて相手を想い、その気持ちや互いの日常を週に一回は手紙で伝えあう時が私には必要でした。牧師夫人になって初めて夫婦がこんなに支えあっている関係なのかと判った次第です。
最終学年になってやっと私は一年後には牧師夫人になるのかと思いはじめ、最初に想ったのが昔愛読した「赤毛のアン」の中の牧師夫人の姿だったのですから、おとぎ話のような現実味のない感覚です。そして一九九九年四月、福島県の小さい教会へ来ました。
教会はかつて牧師との間でトラブルがあり、一応決着していましたが、会堂は無く民家を借りていました。無牧の時、教会員はここで牧師が与えられるよう熱心に祈りを捧げてきたそうです。その一年後、農村部に移って新会堂が建ちました。
牧師夫人とはどんなものか、教区の牧師夫人の会にさっそく出席し、婦人会連合の牧師夫人研究会の大会にも興味津々、出席です。
この地に来てすぐ教区婦人委員会の県委員の順番が地区へ廻って来ましたが諸事情で誰も受けられず、教会婦人会の経験もない私がやることになりました。四年間皆さまに助けていただき、失敗も幾つもしましたが、楽しく満たされた時であったと心に残っています。
以上、九年間の牧師のパートナーとしての年月です。劇的なことは何もない、これという働きもない。毎日、神さまに教会員、その御家族、求道者の方々をお守り下さっていることへの感謝の祈り、これだけでしょうか。
私自身は沢山のことを学びました。教会生活を通して、頂くパンフレットや様々な分野の本を通して、地域のサークル活動や講演会を通して。神さまは意外と面白いお方のよう。思いがけない経験をさせて下さったり、助けて下さったり、試練を用意して下さったり。
そのどれもが、私に受け取る準備ができた時を見計らって与えられています。どんな場合も、良い方へ導いて下さることを確信して今を生きています。

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