教区の信仰告白を目指す 「将来委員会」九項目の最終答申 沖縄
第64回沖縄教区定期総会は、五月二五日から二日間、沖縄キリスト教センターで正議員四六名中、開会時四三人が出席して開催された。沖縄教区は六年連続で教団問安使を拒否した。
議長報告で知花正勝議長は、報告書記載の議長総括を読み上げることなく、「言葉が通じ合っていないところに教区の課題がある。分かって貰えないことも言わなくはならなかったが、これ以上は語らない。次期役員にバトンタッチしたい」と教区内の亀裂・対立に、うみ疲れた心境を吐露した。
議長選挙では、三度目の上位二人の決戦投票も、知花正勝、村椿嘉信両氏が各二〇票で同数となった。教区規則では「同数のときは抽選で決定」とあるが、議場から再投票を求める提案が採決に付され、賛成二一で可決され、異例の四度目の投票となった。
所信表明で知花氏は「解放の時をひたすら願っている」と語り、投票の結果、村椿嘉信氏(石川)二一、知花正勝氏(与那原)一九(投票総数四〇)で村椿嘉信氏が議長に選出された。
副議長選挙も同様の経緯を辿り、三度目の決戦投票前に、具志堅篤氏が「新体制で」と表明。投票結果は、小倉隆一氏(平真)二四、具志堅篤氏(読谷)一〇(投票総数四〇、有効三四、白票六)で小倉隆一氏が副議長。書記には藤原仰氏(宜野湾伝道所)が選出され、三役が一新された
一日目夜、四年間に及んだ「沖縄にある将来教会の在り方を検討する特設委員会」報告が平良修委員長から行われた。委員会四八回、全体協議会十四回の協議を経て作成された特設委の最終答申は、議案書の四五ページに及ぶ大部のもので、望ましい将来教会の在り方、教団との関係、答申を実質化するための提言の三点について述べている。
将来教会の在り方は、九項目あり、その中から主な点を拾うと、①「歴史を踏まえた沖縄に立つ教会」②「国家体制からの自立」③「内外に開かれた合同教会」④「教団の信仰告白を唯一の告白とせず、複数の信仰告白を目指す」⑤「小さくされた人々と共にあり、財政・教勢の拡大を最優先しない教会の形成」⑥「聖書は未受洗者配餐の妥当性、可能性を示唆している。聖礼典の在り方の検討」⑦「財政的自立のため、牧師の兼務、兼職の勧め」⑧「二種教職制の廃止、多数決制をとらない徹底した対話による合意を重んずる合議制」⑨「六九年合同はすべきでなかった」。
将来教会の在り方が、三三頁に及んで詳述しているのに比べ、教団との関係が二頁と簡潔である点にも、答申にこの問題に苦慮したことが伺われ、「『相互批判的な連帯関係』を築くため、教団の『距離』置き続ける」と現状を肯定している。平良修委員長は、「教団から離脱するなど六つの選択肢があったが、留まるとも決別するとも結論出来なかった。最小限の距離を置いて自主自立の途を模索するしかない」と語った。
答申の実質化のため、「教団総会議員を選出せず、委員会等に派遣・推薦しない」「教区宣教基本方針の改定」「沖縄教区の信仰告白の制定」「教区規則を改定して伝道所信徒を教区総会正議員とする」などを提言した。
委員長報告後、「六九年合同は喜びと愛に包まれていた」との反論が一人から出ただけで他に意見も出ず、議場が委員長報告を声もなく聞き入っていた光景が印象的だった。
この特設委答申を受けて、「答申の検討と具体化を新常置委員会に付託する」との建議が挙手多数で可決され、答申の実質化を巡っての論議は、今後の審議に委ねられることになった。
議案には「教団総会議員選挙に関する件」も上程されていたが、「答申に沿って、教団と距離を置くため、総会議員選挙を行わない」との議員提案が動議として成立し、賛成二二で可決され、沖縄教区は34回総会以来三期連続で教団総会議員選挙を実施しなかった。
常置委員選挙結果
【教職】竹花和成(首里)、知花正勝(与那原)
【信徒】高里鈴代(西原)、上地武雄(読谷)、中原芳子(志真志)、宮里幸子(高原・推薦)
(永井清陽報)