【4654号】人ひととき 中田 典子さん

備えられた道を回って、
母校の教諭に

「冷めた優等生」。東洋英和女学院中学に入学して初めてキリスト教に触れたが、世の中を小馬鹿にし、教師から見たら嫌な生徒だったかもしれない。「やらない子、できない子の気持ちが分からず、教師になどなるとは思ってもいなかった」。ただ、当時は英和の生徒は教会に行くのが当たり前で、高等部の頃に聖ヶ丘教会で先輩たちや友人らと共に過ごした経験が、後の求道への備えとなっていたのではないか、と振り返る。
英語教育の手法について考えたり、教育学にも関心を持った。シュタイナー教育への関心から、東京外国語大学ではドイツ語を専攻。しかし、英語教育学者の若林俊輔と出会い、英語教育学で卒論を書く。それでも、教職課程の単位は取らなかった。「選択肢の中には入っていませんでした」。
卒業後、メルセデス・ベンツに就職。一〇年後、トヨタのレクサスの立ち上げに誘われ、そちらに移る。車によって人生を豊かにするカルチャーに気づき、それを知ってもらいたかった。しかし、男社会で認められることの難しさにも直面する。「もっとできることがあるのではないか」。もう一度教育学に取り組み、大学時代は避けた教職課程を通信教育で取り、教員免許を取得した。
母校での教育実習中、「あなた教会に行っているの」と恩師から尋ねられ、キリスト教とも再会。実習を終えた頃、ガンと闘っていた母を亡くし、いっぺんに信仰が問われ、銀座教会での求道生活が始まった。その後間もなく受洗、ちょうど母校への就職も決まった。信仰の転機が母校での奉職の機ともなった。自分の選択肢の中にはなかった道を、あえて自ら選び取る姿は、人からは「大変な決断をしたね」と見られる。しかし、これも主の選択の中にはあったことなのだと思う。「一つ一つの小さなきっかけが積み重なって、ここまで来ました。備えられた道でした」。

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