JOCSは、今年度新ワーカー二人を加え計八人の保健医療従事者をアジア・アフリカへ派遣しています。
新ワーカーの内一人は岩本直美さんです。バングラデシュのテゼ共同体による知的ハンディを持ったメンバーの家「プシュポ・ニール(華の家)」での活動のためです。九歳~二八歳(推定)の子供や大人達-身体的な障がいや重い精神疾患を持つ人も-八人が暮らしています。テゼ共同体は他に二つの家も運営しており、岩本ワーカーはすべてに関わっていく予定です。
「今あるニール(家)の子供達の中には、ダッカの孤児院にいたストリートチルドレン五人も含まれている。路上で生活していた彼らは、親にごみのように捨てられ、『Nothing(無に等しい)』、そして『死んだ(も同然)』存在だった」
「子供達は、幼い頃から愛情に飢え渇き、『自分が大切な存在である』という感覚が持てない。家では『人として生きること』を取り戻すようにしている」-これは、テゼ共同体のブラザーが語った言葉です。
岩本ワーカーは、長く障がいのある人々と共に歩んできたことの延長線上で、今に至っています。「ニールは、問題解決のためにあるのではなく、ただ彼らに寄り添う場所です。子供達の『闇』ではなく、『光』について語りたい」と語り、再び出発しました。
JOCSの掲げる基本聖句は、「平和をつくり出す人々は幸いである」です。現地の子供達との出会いから、「平和をつくり出すのは、私たちではなく、その子供達一人ひとりの存在なのだ」と教えられました。ダッカに死んだに等しい形で捨てられていた孤児は、「イエス・キリスト」でした。共に生きることの意味について深く考えさせられます。私の好きな言葉に、"Happiness is homemade."という言葉があります。愛と慈しみの関係、心が通う温かな居場所(家)から、「平和」が生み出されていきます。それは祈りと業により育まれていくのでしょう。 (大江 浩報・JOCS総主事)