顔と顔を合わせ出会うことを経験
8月19〜30日に「ユースミッション2013」の日独の教会青年交流が、神様の祝福と守りのうちに実施されました。このために多くの方々の献げ物と祈りが集められましたことに、スタッフはじめ参加ユースは大きな励ましを受けました。この紙面をお借りして心から感謝いたします。
10年以上、全国教会婦人会連合の下で続けてこられたこの交流を、伝道推進室が引き継ぐ形で、「日独教会青年交流」の計画は進められました。その計画の中では初めての者には様々な不安もありましたが、そのような不信仰な者の思いをはるかに越えて、神様はほんとうに素晴らしい時と出会いをお与え下さいました。
「ベルリン・ブランデンブルク領邦福音主義教会ヴィットシュトック・ルピン教区」のお招きを受けて、15〜22歳のユース13名と、5名のスタッフ、2名のサポートスタッフ、そして伝道推進室室長の石橋秀雄教団総会議長が参加して下さり、総勢21名のメンバーでドイツに向かいました。ベルリンより北西に100キロほど離れたヴィットシュトックや近郊の町や村でホームステイをしながら10日間の交流プログラムを経験してまいりました。
ドイツの教会が設定してくださった今回のテーマは「環境問題」でありました。テーマに基づき、バイオ農場、東経8度上にある各国の気候を体験する教育施設、風力発電所など、様々な施設を回りながら、五感によって環境問題を考える時も与えられました。またそれと同時に、2泊3日で行われた、青年キャンプにおいても、環境問題を中心とした聖書の学びがなされ、主の日の礼拝の準備をしました。
神様のお造りになった豊かなドイツの自然の只中で、聖書に聞き、キリストの福音の喜びのうちを生かされているものとして、参加者それぞれがこの問題を共有し分かち合いながら、厳しい現実と、それを憐れみまた慰めを与えてくださる神様の恵み深さを知る時も与えられました。
このテーマの背後にあることは、この交流プログラムを準備してくださったドイツの教会の方々が、東日本大震災における福島第一原子力発電所の事故に深く想いを寄せていてくださることでした。それと併せて今年の夏、日本が経験した異常な天候についての関心も持っておられることも知らされました。福島第一原子力発電所の事故から学び、原子力に電力を頼る生活を止めることを決断したドイツの教会が、放射能汚染によって痛みを負っている教会を覚えて祈っていてくださることを強く感じました。参加したユースたちには、それぞれに気づきが与えられたことであろうと思います。本当にドイツの教会がテーマに沿った、良いプログラムを準備してくださいました。
また、この交流の機会は神様と出会い、人と出会う時となりました。ヴィットシュトックの市長からお招きを受けて、市庁舎を訪ねましたが、その中で市長がこのようなことを話されました。「今は、コンピューターにより、世界の誰とでも繋がることができるようになりました。しかし、今回ヴィットシュトックという小さな町を訪ねてくださった皆さんは、コンピューターでは経験できない一つの経験をなさっています。それは顔と顔を合わせ、出会うという経験です」。
その地の空気を一緒に吸い、経験を共有し、一緒に笑い、手を取り合って祈りを共にする。これは何事にも代えがたい経験であります。
あるユースが言いました。「言葉が通じてもコミュニケーションが取れるわけではない。それとは反対に、言葉が通じなくてもコミュニケーションが取れることを知った」このような感想を持つユースがいるほどに、それぞれが良い出会いを与えられました。それを支えてくださったのは、文字通り献身的にホストファミリーとしてユースをはじめユースを引率したスタッフを家庭の中に受け入れてくださったドイツの教会員の方々です。
石橋室長が現地での聖日礼拝において今回の主題聖句であったイザヤ書65章の御言葉から「狼と小羊は草をはみ…」と記されている出来事が、ドイツと日本の国籍の違う青年が同じ御言葉をいただくことによってここで実現していると、説教で語られましたが、そういう奇跡を私たちは経験し、つぶさに見ることが許されたのです。
また日本から渡独したユースたちは、今回はじめて出会った者ばかりです。ある意味で偶然に集められたものであり、そのために最初は緊張して固かったユースたちでありましたが、旅を続ける中で信仰も親交も深められて、ほんとうに素晴らしいチームとして旅を終えることができました。
誰が最初に言い出したかわかりませんが、別れが迫ってきた後半のプログラムの中で合言葉のように「来年『教会中高生・青年大会』でまた会おう」と参加ユースたちが語り合っていたその姿に、神様の祝福の豊かさを知らされました。また伝道献身者への志が芽生えた青年が与えられたことに、神様のご計画の偉大さを思わされました。
近い段階で報告書が出ることになると思いますから詳しくはそちらに委ねたいと思いますが、ただ、最後にひとつのことをご報告したいと思います。10日間親しんだ町やホストたちと別れる時、ユースの目には光るものがありました。そのことが全てを物語っているように思います。
(山元克之報/東北教区センター)