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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4670号】カルト被害終息せず益々深刻に

2009年3月14日

統一原理問題東京地区学習会を開催

統一原理問題東京地区(東京教区、西東京教区)連絡会学習会が二〇〇九年一月三〇日(金)、教団会議室に於いて開催された。今回は、東京地区だけでなく他教区他教派にも呼び掛けたため、東北教区、カトリック中央協議会、聖公会、日本ルーテル教会、日本バプテスト連盟からの参加者も得て、出席者二九名を数え盛会であった。
最初に吉田好里牧師(世話人代表)より挨拶と集会の趣旨説明が以下のようにあった。連絡会による二ヶ月に一度の定期的な相談活動も既に二〇数年が経過したが、その間、相談者が来なかった日は一度もなく、むしろ最近は増加傾向にあり、カルトの被害は終息せず、益々深刻になっている現状である。その間、連絡会構成メンバーの高齢化もあり、改めて、今日の統一協会の活動による被害状況を多くの人に知ってもらい、救出の取り組みと相談者の裾野を広げていきたいというのが今連絡会の趣旨である。
第一部として、長年、協力を頂いてきた山口広弁護士(全国霊感商法対策弁護士連絡会事務局長)より以下のような講演がなされた。「二〇年間カルト問題に関わってきたが、この視点から社会に対する視野が広がり、自分の成長にとっても実に有益であった。弁護士手帳に六曜が記され、自称霊能者によるスピリチュァルブームが起こり、女性週刊誌だけでなく大新聞にまで運勢が掲載される状況の中、霊感商法被害者予備軍を生み出している魂の砂漠的世界が益々広がっている。その中にあって、宗教者も人助けに参加して欲しい。そのためには、カルト被害者の悩みを〈聴く〉ことが大切であり、それは誰にでも出来る。特に解決が長引く家族と寄り添い、支え続けていくことが求められている」。
また荻上守生弁護士より、「現在、心の悩みを抱えている人は非常に多く、カルトはそこにつけ込み被害者を増やしている。教会や寺院は人の悩みを〈聴く〉社会的責務があると思う。法曹界では、自分のような若手が先達の後継者として養成されてきているので、教会も頑張って欲しい」との激励を受けた。
続いて佐原光児牧師(霊南坂教会)より、「自分は連絡会の中で最年少であり、カルトカウンセリングを学ぶ機会もないまま始めてしまったが、正しい知識と経験があれば、この問題に取り組むことは怖くはない。これは福音をどうこの世に語っていくかという宣教の課題である」との指摘を受けた。
また黒鳥栄牧師(戸塚教会)も〈カウンセリングの秘訣〉とは〈聴く〉ことに尽きると強調した。被害者は、カルトに行って、自分の話を初めて聴いてもらえたという感動を味わっている。それに対して、自分の家族は、反対ばかりで、何も聴いてくれないとの絶望感があり、それが説得を阻害している。相談者は、カウンセラーの〈聴く〉姿から学び、カルトに入信した家族の言葉と心を〈聴く〉ことが出来るよう成長していくのだとの示唆を受けた。
参加者より、現在は世界的にスピリチュァリティ(ニューエイジ)に浸食されており、それは癒しの強調という形で教会の中にも入っている。カルト問題に取り組むことは、教会の語る福音とは何かを再確認することにも繋がるとの指摘がなされた。
午後は、定例の原理問題相談会に参加者たちも加わり、次々に訪れる相談者にカウンセリングがどのようになされるかの実地体験を夕方まで続けた。初めて被害者と体面して緊張した者もあったが、皆一様に、被害の深刻さを知り、この救出活動に参加していきたいとの決意が与えられた。有益な会になったことを感謝する。
(山本裕司報)

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