【4662号】解放劇『荒野の40日』 差別問題を巡る教会・牧師の葛藤描く

別府渉牧師は、教会員の水谷豊彦の息子の就職を助けようと知り合いの中島しおりに相談する。だが、そのやりとりの中で、彼は自分の差別意識を明らかにしてしまった。
差別者だと罵られ、牧師を辞めようかと悩む別府。一方、教会の役員である斎藤真らは、教会の名誉を守ることを優先しようとする。苦悩の中で、別府は荒れ野でのイエスに思いをはせる。そして、自分の中にある差別心と向き合いながら、教会が差別問題に取り組むとはどういうことなのかに気づかされていく…案内チラシに紹介された【あらすじ】。
教団総会の二日目に当たる一〇月二二日夜、恒例の解放劇が二〇〇名を超える観客を得て上演された。
出来事の発端となる回想場面、教会員の子どもの就職斡旋に自ら一役買った牧師が、旧知の間柄である相手方会社の社員に、ためらいながらも、当事者の秘密を漏らす。「その人部落の人なんだ」。
出来事も登場人物もデフォルメされている。芝居だから当然なのだろう。否、登場人物はともかく、出来事は現実をなぞっているのかも知れない。
何故、この牧師はこのような言動に出るのだろうか、行為の是非は別として、それが当人のためと口を噤んだのなら分かるし、関わりたくないというのも、共感するという意味ではなく分かる、しかし…。一種の違和感・抵抗を覚えながらも、次第に舞台上の出来事に捕らえられていった。
第三場、牧師と父親(教会員)の話し合い。「部落の人だけど悪い人ではない」牧師が、推薦のつもりで言った言葉に潜む差別性が指摘される。
事柄・主題からして当然と言えば当然なのだろうが、苦痛を覚える程に、救いがないと感じる程に、重く刺激的だ。「教団・公同教会としての一致と連帯」の総会看板の下での演劇、深く考えさせられる劇だった。   (新報編集部報)

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